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2024年第4四半期決算：過去最高の業績を達成
TSMCは2024年12月31日に終了した第4四半期の決算を発表した。売上高は8,684億6,000万台湾ドル（約39.5兆円）、純利益は3,746億8,000万台湾ドル（約17兆円）となり、いずれも過去最高を更新した。希薄化後1株当たり利益（EPS）は14.45台湾ドル（ADR1単位当たり2.24米ドル）だった。
前年同期比で売上高は38.8％増、純利益およびEPSは57.0％増となり、2024年第3四半期比でも売上高は14.3％増、純利益は15.2％増と堅調だった。米ドルベースの売上高は268億8,000万ドルで、前年同期比37.0％増、前四半期比14.4％増だった。
売上高構成（プロセス別）
3ナノメートル（N3）：売上高の26％
5ナノメートル（N5）：売上高の34％
7ナノメートル（N7）：売上高の14％
7ナノ以降の先端プロセス：全体の74％
利益率
粗利益率：59.0％
営業利益率：49.0％
純利益率：43.1％
2025年第1四半期見通し：市場予想を上回るガイダンス
TSMCは2025年第1四半期（1-3月）の売上高を250億～258億米ドルと予想し、市場予想の244.3億米ドルを上回る見通しを示した。これはAI需要の拡大とスマートフォン市場の回復を反映したものだ。
粗利益率：57％～59％（市場予想56.9％を上回る）
営業利益率：46.5％～48.5％（市場予想46.4％を上回る）
また、2025年の設備投資計画は380億～420億米ドルと発表され、市場予想の351.5億米ドルを大きく上回る規模となる。これは最先端技術の開発や生産能力の増強を目的としている。
2024年通期業績
1-3月期：売上高5926億台湾ドル（約2.81兆円）、純利益2254億台湾ドル（約1.07兆円）
4-6月期：売上高6735億台湾ドル（約3.24兆円）、純利益2476億台湾ドル（約1.19兆円）
7-9月期：売上高7596億台湾ドル（約3.5兆円）、純利益3252億台湾ドル（約1.5兆円）
通年売上高成長率：「20％台半ばをわずかに上回る増収」→「30％近くの増収」へ上方修正
最先端技術開発と製造拡大
2ナノメートル（N2）プロセス開発
台湾メディアによると、2024年後半に2ナノプロセスの試験生産を開始し、2025年の「iPhone 17 Pro」に搭載されるApple A19 Proで本格量産が始まる。AppleがTSMCの製造ラインを独占する形となる。
米国・日本での生産拡大
米アリゾナ州：米商務省は、TSMCの新工場建設に最大**66億ドル（約1兆円）**の補助金を支給する。2ナノ半導体生産を視野に、第3工場の建設も計画中。
日本・熊本：TSMCは第2工場を菊陽町に建設予定で、経済産業省が7,300億円の補助を決定。自動車・スマホ向け16ナノ/28ナノプロセスを300ミリウエハーで生産する大規模工場となる。
日本・茨城県つくば市：先端パッケージング工程の研究開発拠点を設立。
出資・提携関係
JASM（TSMC日本子会社）への出資比率
TSMC：86.5％
ソニー：6.0％
デンソー：5.5％
トヨタ：2.0％
半導体技術開発の主要参画企業
ソニーグループ（6758）：ポスト5Gエッジコンピューティング向け半導体の3D積層技術
昭和電工（4004）：最先端パッケージ評価プラットフォーム
住友ベークライト（4203）：次世代情報通信向け先端パッケージ材料開発
半導体市場におけるTSMCの戦略
TSMCは、AIや5G向けの最先端半導体を中心に生産を拡大している。特に、3ナノ（N3）技術はAppleやNVIDIAの主要チップに採用され、2ナノ（N2）技術の量産準備を進めることで、競争優位を確保している。
3ナノ（N3）：iPhone 15のチップセット、車載向けプロセス（N3A）
4ナノ（N4）：NVIDIAの最新GPU
6ナノ（N6）：AI・5G・GPU向け
12ナノ（N12）：スマートフォン・データセンター向け
22ナノ（N22）：CMOSイメージセンサー（ソニー）
28ナノ（N28）：自動車半導体（トヨタ・デンソー）
熊本を中心とした半導体生産拠点の成長
九州地方では、TSMCの設備投資による経済波及効果を2021年からの10年間で20兆円超と試算。
SUMCO：佐賀県に2,250億円を投じて新工場建設。
京セラ：長崎県に半導体パッケージ工場を建設。
ソニー・ローム・荏原・三菱電機なども積極投資。
