株テーマ:HBM(広帯域メモリ)の関連銘柄
HBM市場の急成長と主要プレイヤーの動向
HBM市場の成長予測
AI向け高帯域幅メモリー(HBM)市場は急拡大しており、2025年には市場規模が約50億ドル(約8000億円)と2022年比で5倍に達する見通しだ。モルガン・スタンレーの予測によれば、2027年には市場規模が330億ドルに達し、ゴールドマンサックスも2026年までに230億ドル規模へ急成長すると見込んでいる。エヌビディアの新型GPU「Blackwell」の登場により、最新世代のHBMチップの需要はさらに高まると考えられる。
主要メーカーの戦略と投資
HBM市場は、サムスン電子、SKハイニックス、マイクロン・テクノロジーの3社による熾烈な競争が展開されている。これらの企業は、HBMの生産能力向上に向けて4兆円以上の投資を計画しており、競争が激化する中で、技術革新と歩留まり向上がカギを握る。
SKハイニックス: 業界初のHBM3を開発し、エヌビディアに独占供給。2023年の市場シェアは53%を占め、HBM市場のトップ企業となった。現在、第5世代HBM3Eの量産を2024年上半期に開始予定。
サムスン電子: 8層構造の「HBM3E 8H」の量産を開始し、2024年4〜6月には12層構造の「HBM3E 12H」の量産を予定している。
マイクロン・テクノロジー: 米政府から60億ドル(約9250億円)超の補助金を受け取り、国内工場建設を推進。AI向けGPUに不可欠なHBMの供給量を増やし、2025年の大幅な増産を計画。
日本企業の貢献
日本企業もHBM市場において重要な役割を果たしている。
TOWA (6315): HBM向け封止装置を開発し、高精度かつ歩留まりの向上に貢献。2024年3月期には韓国半導体メーカー(SKハイニックス、サムスン電子)向けに15〜20台の受注を予定。
アドバンテスト (6857)、日本マイクロニクス (6871)、東京精密 (7729)、日本電子材料 (6855): DRAMのプローブ試験の需要増加により、半導体検査装置市場での成長が期待される。
東京エレクトロン (8035): HBM型DRAM製造プロセスの要となるボンディング装置を提供。
レゾナック: HBM積層の際に用いる絶縁接着フィルム「NCF」を開発し、高品質な接続信頼性を実現。
次世代HBM技術と市場の展望
HBMの技術革新が進む中、最新の第5世代HBM3Eが注目されている。
SKハイニックス: メモリメーカーとして最初にHBM3Eをエヌビディアへ納品予定。
サムスン電子: 業界初の12層HBM3E製品を2024年上半期に量産し、現在エヌビディアがテスト中。
マイクロン: 8層・24GBのHBM3を量産し、さらなる拡張を図る。
まとめ
AI半導体市場の成長に伴い、HBM市場は急速に拡大し、各国政府の支援を受けながら米韓の主要企業が投資を加速させている。日本企業も歩留まり向上や高品質化において重要な役割を担っており、HBM市場の発展とともに関連銘柄の成長も期待される。