株テーマ:ウクライナ復興の関連銘柄
ウクライナでは、ロシアの攻撃で200万棟を超える住宅や施設が破壊された。電力などインフラ施設の被害も甚大で、大量の地雷は復興の妨げとなる。国外に脱出した難民は700万人に上る。世界銀行は、24年以降の10年間で復興に必要な支援額は4860億ドル(72兆円)程度を見込んでいる。
日本とウクライナ両政府が2024年2月19日に開いた経済復興推進会議は、民間主導の復興を打ち出した。ウクライナのガス輸送システム運営会社であるGTSOU(Gas Transmission System Operator of Ukraine)は、ウクライナ復興に向けたガスインフラの近代化を進めている。この取り組みにおいて、住友商事と川崎重工業がGTSOUと協力し、ガスコンプレッサーステーションの近代化に関する共同検討を行う覚書を締結した。
農業分野ではクボタ、インフラ整備では駒井ハルテックがガス貯蔵施設向けの風力発電の導入を支援する。IHIは欧州との接続橋建設、住友商事と川崎重工業はガス輸送の近代化を支援する。楽天シンフォニーや双日は通信インフラ整備でウクライナの通信事業者「キーウスター」と協業する。
ウクライナ復興関連株
(1801)大成建設、(1802)大林組、(1803)清水建設、(1812)鹿島建設の4社が、ウクライナ復興を牽引する建設株として注目されている。これらの企業は、国内外での大規模インフラ整備の実績を持ち、ウクライナの復興事業への参画が期待されている。
(7013)IHI:仮設橋の設置などインフラ整備に協力している。
(8053)住友商事:電気・熱供給システムの近代化に向けて協議を進めている。
(6503)三菱電機・(6504)富士電機:地下鉄車両の改修で基本合意している。
(6301)小松製作所: 対人地雷除去機を開発
(7011)川崎重工業: 地雷探知車「MINE DOG」、 対人地雷除去車「MINE BULL」
(3040) ソリトンシステムズ:映像伝送装置「Zaoシリーズ」を基盤に建機の遠隔操縦システムを構築
ウクライナは、電気自動車(EV)向け電池の製造に必要なレアアースやリチウムなど重要鉱物をはじめ資源が豊富なことで、自動車製造拠点の誘致にも意欲を示している。
ウクライナ鉄道は3月中にチェコ・プラハなど3都市とつなぐ新路線を設け、国際線を侵攻前比8倍の25本に増やす。ウクライナは、日本企業の鉄道技術を活用したいとして国際協力機構(JICA)とも交渉を始めた。
2024年2月、岸田首相のウクライナ復興取り組みと供与実績
(1)復旧・復興の前提となる地雷対策・がれき処理
(2)人道状況の改善や生活再建支援
(3)ウクライナの主要産業である農業・畜産業の生産性向上
(4)バイオなど新たなものづくり
(5)IT人材雇用を見据えたデジタルやIT/ICT産業の発展
(6)電力や交通インフラなどの生活基盤の整備
供与実績
不発弾対策のクレーン付きトラック
地雷探知機ALIS
大型変圧施設・大型変圧器
ガスタービン発電機
米国がこれまでにウクライナ支援に費やした金額は1000億ドル規模だが、トランプ大統領はレアアースなどの鉱物資源5000億ドル相当の見返りを求めている。これもトランプ流の交渉術だろうが、米国には軍事支援打ち切りという切り札があり、合意点を模索するだろう。ゼレンスキー大統領が和平のためなら辞任の用意があると発言したことも、停戦実現に近づく。
東京海上ホールディングス(HD)は、建設コンサルティング大手の(9161)ID&E HDへのTOBが成立した。日本工営はウクライナ復興で、空港や下水道処理施設の改修、がれきや不発弾の処理等、20のプロジェクトを展開している。