株テーマ:5G基地局(Open RAN・クラウド基地局)の関連銘柄
5G基地局関連銘柄。5G基地局への設備導入は、NEC、富士通、ノキア、エリクソン、サムスン電子が軸になりそうだが、通信アンテナや通信系計測器にも商機が発生する。5Gの普及は電子部品や半導体にも商機があるが、基地局建設が進まないとどうにもならない。5G基地局への通信設備導入ではNECと富士通、基地局工事ではコムシスHDや協和エクシオ、5G用計測器ではアンリツやアルチザネットワークスが注目されそうだ。ギグワークスも5G基地局の受注が豊富。
5G基地局整備の加速に向け、2020年税制改正大綱では、5G通信網の整備で投資額の15%を税額控除する優遇措置が2年間の時限措置で設置された。2020年7月には移動通信の標準化団体「3GPP」が5G仕様の標準化を完了。これにより基地局メーカーからの受注が電子部品各社に拡大する。また、総務省は2020年12月に2023年度までに5G基地局を全国に整備する計画を21万局から28万局に引き上げた。
約800社の携帯電話事業者を中心に、220か国から1000社以上が参加している業界最大の団体「GSMA」は、2025年までに移動体通信事業者が全世界で1兆1000億ドルを投資し、そのうち80%は5Gネットワークの構築に向けられるとしている。
NTTドコモとNECは、2024年4月にOpen RANの海外展開本格化に向け、合弁会社「OREX SAI」を設立。OREX PARTNERのあらゆる製品やサービスなどを現地で調達、システム動作の検証をした上で、海外通信事業者の要望に応じたモバイルネットワークを提供する。
NECは、ファーウェイ排除の動きを強めた英国に拠点を設立し、「Open RAM(オープンラン)」と呼ぶ複数のメーカー機器を自由に組み合わせられるインフラを整える。海外では基地局の実績はほとんどなく、ノキアとエリクソンの牙城を崩すことができれば、6Gにもつながる流れとなる。英政府はファーウェイに代わるインフラ整備に350億円を投じて実証実験を開始しており、NECも英政府の要請で参画している。また、スペイン通信大手のグループ企業であるテレフォニカドイツの「Open RAN」を使った実証実験への参加が決定した。
NECは、英ボーダーフォンが英国に構築する世界最大級の商用Open RAN(オープンラン)で、超多素子アンテナを搭載した5G基地局装置を供給するパートナーに選定された。ボーダーフォンは英国内に2500カ所に基地局を設置する計画で、欧州やアフリカでもオープンランを導入する予定としている。オープンランは様々な基地局製品を自由に組み合わせてネットワークを構成できるため、引き合いは増加しており、NECは2030年に世界シェア20%を目指している。
楽天グループは、2021年8月にOpen RANインフラストラクチャに関するプロダクト・サービスを集約し、楽天シンフォニーを新たに始動。Open RANベースの通信インフラプラットフォーム、サービス、ソリューションを開発し、世界の通信会社や企業、政府機関向けにコスト効率の高い通信用クラウドプラットフォームを提供する。
村田製作所は、5G基地局向けにMLCC(積層セラミックコンデンサ)が増加。
読売新聞が、「5Gの通信網整備に向け、日本と米国、英国政府が、日本製の機器や技術の普及に向けて連携を強化する」と報じている。5Gを含む通信基地局の世界シェアは、ファーウェイ、エリクソン、ノキアの3社で約8割と寡占状態にあり、この状態でファーウェイを排除すると供給元が限定されるため、英米両国ともに調達先の多様化に向けて協力するようだ。現在ファーウェイのシェアは33.1%で首位、NECは0.7%、富士通は0.6%にとどまっている。ファーウェイの機器価格はエリクソンやノキアに比べて2-3割安いとされている。日本勢が進める「O-RAN」による機器のオープン化はコスト削減でファーウェイの水準に達すると見られている。
通信インフラをクラウド上のソフトウエアに置き換える動きも広がる。
●5G基地局の設備投資額
・NTTドコモ 23年度までの5年間で1兆円、24年度以降も年数千億円投資
・ソフトバンク 今後10年で2兆円
・KDDI 今後10年で2兆円
ソフトバンクとKDDIは、今後10年の5G基地局整備などにそれぞれ2兆円を投じると報じられている。ソフトバンクは2021年度までに都市部を中心に5万局、2025年までに20万局体制とし、ほぼ全ての場所で5Gを使えるようにする。最終的には35万局とする計画。KDDIも2021年度末までに5万局に増やす計画。