株テーマ:AI翻訳の関連銘柄
AI同時通訳関連銘柄の最新動向
総務省と情報通信研究機構(NICT)は、2020年度よりAIを活用した自動通訳ソフトの開発を進めている。従来の自動翻訳ソフトは、発話が完了してから翻訳するため会話に空白時間が生じるが、新たに開発される技術では、会話の途中から翻訳を開始し、よりスムーズなコミュニケーションを実現する。対応言語は日本語、英語、中国語を含む15言語で、2025年の実用化を目標としている。
ソースネクスト(ポケトーク)の展開
ソースネクストは、AI通訳機「ポケトーク」を軸に、AI翻訳サービスの拡充を進めている。2022年5月には、AI通訳アプリ「ポケトーク」の提供を開始し、週120円、月360円、年3600円の料金体系を採用した。また、2022年4月には、AI翻訳・字幕ソフト「ポケトーク字幕」のサブスクリプションサービス(月額2200円)を開始。Zoomなどのリモート会議システムと連携し、発話を瞬時に翻訳・字幕表示する機能を提供しており、82言語に対応している。
さらに、ソースネクストの子会社であるポケトークは、2025年2月をめどに、スマートフォンを活用した同時翻訳サービスを開始する予定だ。このサービスでは、日本語や英語を含む主要10言語の音声入力に対応し、翻訳出力は音声52言語、文章75言語に対応する。これにより、複数の外国人を同時に案内できる環境を整え、観光業における人手不足の解消が期待される。料金は1アカウントあたり月9万9000円に設定されている。
ロゼッタの機械翻訳技術
ロゼッタは、AIを活用した高精度の機械翻訳技術を開発している。同社の「T-400」は、従来の翻訳エンジンとは異なり、専門分野ごとにAIを学習させることで、プロ翻訳者レベルの精度を実現している。2000以上の専門分野のデータベースと、顧客が保有する文書データを組み合わせ、高度にカスタマイズされた自動翻訳を提供する。2025年までに人間の翻訳者と同等の精度を達成することを目指しており、音声認識・合成技術と組み合わせたウェアラブル翻訳デバイス「T-4PO」の開発も進めている。
また、ロゼッタはAI音声翻訳の技術強化を目的に、2020年9月23日、フュートレックおよびシナモンと業務提携を結び、カスタム音声認識技術の開発を進めている。
ブロードバンドタワーとさくらインターネットの取り組み
ブロードバンドタワーは、豊橋技術科学大学および日本マイクロソフトと協力し、多言語翻訳サービスの開発を進めている。2020年までに、インターネット上でリアルタイムに翻訳を提供する技術を確立することを目指した。
さくらインターネットは、国立研究機関のディープラーニング翻訳プロジェクト向けの基盤を提供しており、AI翻訳技術の研究・実用化を支援している。
凸版印刷の翻訳アプリ
凸版印刷は、多言語音声翻訳アプリ「ボイスビズ」や「ジャパリンガル」を展開し、企業向けのAI翻訳・通訳サービスを強化している。
まとめ
AIによる自動通訳技術は、翻訳精度の向上だけでなく、リアルタイム性や利便性の向上を追求している。特にソースネクストの「ポケトーク」をはじめ、ロゼッタの専門分野特化型翻訳エンジン、ブロードバンドタワーの多言語翻訳サービスなど、各社が独自のアプローチで市場の拡大を図っている。観光業や国際ビジネスの場面での活用が進み、AI翻訳技術の実用化が加速することで、言語の壁が低くなる時代が目前に迫っている。