株テーマ：居酒屋の関連銘柄
居酒屋チェーン業界の動向と主要企業の戦略
居酒屋チェーン業界は、コロナ禍からの回復を遂げつつあるが、依然として厳しい経営環境にある。原材料費や人件費の高騰に加え、消費者の外食頻度の減少や低価格志向の高まりが業界の収益性に影響を与えている。一方で、高付加価値戦略やデジタル化を進める企業もあり、競争環境は新たな局面を迎えている。
回復する需要とコスト上昇の課題
コロナ禍で大きな打撃を受けた居酒屋業界だが、規制緩和後は宴会需要の回復が見られる。しかし、かつてのような大人数での飲み会文化は縮小し、少人数や個室需要が高まっている。また、消費者の節約志向も強く、低価格メニューの強化やセット販売が求められる。
一方で、ビールや肉類を中心に原材料価格が上昇しており、価格転嫁が難しい状況にある。特に、チェーン展開を行う企業はコスト増を抑えるために、業態転換や経営の効率化を進めている。
主要企業の動向
（3193）鳥貴族ホールディングスは、全品均一価格のビジネスモデルを維持しながらも、店舗オペレーションの最適化を進めている。セルフオーダーシステムの導入や業態転換により、収益性の向上を図っている。
（8207）テンアライドは、「天狗」ブランドを展開し、低価格ながら高品質なメニューを提供。デジタル化を活用し、スマートフォン注文やモバイル決済を強化している。近年はテイクアウト需要の取り込みにも注力している。
（7522）ワタミは、焼き肉業態や個室居酒屋の展開を加速。居酒屋業態の収益性が低下する中、新たな業態開発に力を入れている。また、環境配慮型の経営にも注力し、サステナビリティを意識したブランド戦略を打ち出している。
（2762）三光マーケティングフーズは、「金の蔵」や「東方見聞録」などを展開する企業だ。居酒屋需要の変化に対応し、低価格路線を維持しつつも、メニューの質を向上させる取り組みを行っている。また、直営店の縮小とフランチャイズ展開の強化を進め、経営の効率化を図っている。
（3198）ＳＦＰホールディングスは、「磯丸水産」や「鳥良商店」を運営し、海鮮系居酒屋の強みを生かした事業を展開している。磯丸水産は24時間営業が特徴で、回転率の高い店舗運営を維持しながら利益を確保する戦略を取っている。また、近年は焼き鳥業態の強化も進めており、居酒屋市場の多様化に対応している。
（3069）ＪＦＬＡホールディングスは、「月の雫」「芋蔵」などのブランドを展開し、焼酎専門居酒屋など特定のコンセプトを持つ店舗を運営している。特に焼酎や地酒の品揃えを強みにし、価格競争に巻き込まれにくい業態を構築している。
今後の展望
居酒屋業界は、従来の宴会需要から少人数利用や個室ニーズへの対応が求められる。また、価格競争が激化する中、デジタル化を活用した経営効率の向上や、差別化戦略がカギを握る。高級路線や専門業態への転換が進む一方で、低価格帯のチェーンも根強い人気があり、二極化の傾向が続くとみられる。
