株テーマ：ファミレスの関連銘柄
ファミレス業界の動向と主要企業の戦略
外食産業の回復とファミレス業界の成長
ファミリーレストラン（ファミレス）業界は、新型コロナウイルスの影響を受けた2020年以降、回復基調にある。政府の行動制限の解除に伴い、外食需要が回復し、各社の業績も改善している。特に、テイクアウトやデリバリー事業の強化が奏功し、コロナ禍を乗り越えた企業が多い。
加えて、人件費や原材料費の高騰が続く中、価格改定やメニューの高付加価値化が進んでいる。低価格戦略から脱却し、「少し高くても満足感の高い食事」を提供する動きが顕著だ。一方で、人手不足が深刻化しており、セルフオーダーシステムやロボット導入など、デジタル化による省力化の取り組みも加速している。
主要企業の動向
すかいらーくホールディングス（3197）
業界最大手のすかいらーくホールディングスは、「ガスト」や「バーミヤン」などのブランドを展開している。近年は、低価格メニューの強化と共に、デリバリー・テイクアウト事業の拡大を進めており、宅配売上が成長している。店舗改革にも取り組み、業務効率化のためのデジタル投資を進めている。
ロイヤルホールディングス（8179）
「ロイヤルホスト」を展開するロイヤルホールディングスは、高級路線を維持しながら、より高付加価値なメニューを強化している。また、空港や駅ナカのフードサービス事業を展開しており、インバウンド需要の回復に伴い、売上が拡大している。
サイゼリヤ（7581）
低価格戦略で強みを持つサイゼリヤは、コスト削減と生産効率の向上を武器に、安価で品質の高いメニューを提供している。海外展開も積極的で、特に中国市場での成長が続いている。ただし、原材料費や物流コストの上昇が利益圧迫要因となっており、価格改定を実施している。
ジョイフル（9942）
ジョイフルは、地方市場を中心に展開し、地域密着型の経営を進めている。人手不足を背景に、省人化を目的とした店舗改装を推進しており、タブレット注文や配膳ロボットを導入している。価格競争の激化が課題であり、独自の付加価値戦略が求められる。
SRSホールディングス（8163）
和食ファミリーレストラン「和食さと」や定食屋「宮本むなし」など、多彩な飲食ブランドを展開する持株会社である。
業界の今後の展望
ファミレス業界は、消費者の外食回帰を追い風に成長のチャンスを迎えている。しかし、人件費や原材料コストの上昇、デジタル化への対応、そして競争激化という課題も抱えている。各社は、ブランド戦略の強化、高付加価値メニューの開発、省力化への投資などを通じて、収益性の向上を図る必要がある。今後は、インバウンド需要の取り込みや、デリバリー市場のさらなる拡大が成長の鍵となるだろう。
