株テーマ:温暖化ガス2050年ゼロ(GX)の関連銘柄
温暖化ガス2050年ゼロに向けて二酸化炭素(CO2)排出量削減(カーボンリサイクル)の関連株。人間活動によって増加した主な温室効果ガスには、二酸化炭素、メタン、一酸化二窒素、フロンガスがある。
政府は、グリーントランスフォーメーション(GX)実現に向け、10年間で20兆円のGX移行債による資金調達を通じて、脱炭素につながる企業の技術開発や国内生産を支援する。2024年2月からGX債の発行が開始された。
経済産業省は、製造時にCO2排出を減らした製品を調達する企業を優遇する制度を作るもようで、企業が政府のGX支援を受けるには、低炭素型の鉄鋼や太陽電池などの調達を要件とすることを検討する。2024年中にどういった製品が対象になるのかなどの詳細を詰め、2025年から始める。
セレンディップ・ホールディングスは、2023年8月に東邦瓦斯と製品単位のCO2排出量をリアルタイムで実測できるクラウドサービス「GreenConnex」を共同開発したと発表した。カーボンニュートラル実現に向けたコンサルティング、エンジニアリングサービスの提供を開始する。
オーウェル、JAL、JAXA、ニコンは、2022年7月から航空機の燃費改善によるCO2排出量削減を目指し、世界で初めて機体外板の塗膜上にリブレットを施工した航空機による飛行実証試験を実施。リブレットを航空機の塗膜表面に施工して流体抵抗を低減させることで、燃費が最大2%改善し、CO2排出削減に寄与するとしている。
中国電力とJパワーが折半出資して設立した大崎クルージェンでは、石炭火力発電所の発電過程で排出されるCO2を分離・回収する試験を行っている。また、ここで回収したCO2を活用し、CO2の有効利用に向けた技術開発や実証試験を実施。中国電力、鹿島建設、デンカで開発するCO2を吸収させた環境配慮型コンクリート「CO2-SUICOM」は2020年代中頃、化粧品や健康食品などの原料となる脂質を生成する技術開発では2030年頃の商用化を目指している。
川崎重工業と地球環境産業技術研究機構(RITE)は、2022年度から石炭火力発電所から排出される燃焼排ガス中のCO2の分離・回収試験を開始する。NEDOの採択を受け、川崎重工がパイロットスケール試験設備の設計・建設を行い、RITEが開発した固体吸収剤を用いて、2024年度まで行う予定。固体吸収法は従来技術と比べてCO2の分離に要するエネルギーを大幅に低減できる可能性があり、期待されている。
東芝エネルギーシステムズは、CO2分離回収試験装置を展開し、2020年11月時点で5件の納入実績があり、2021年6月に6件目の納入を予定する。CO2分離回収設備は火力発電所や清掃工場から排出されるCO2を回収するための設備で、東芝エネルギーシステムズは、あらゆる排ガスに適用でき、CO2の回収規模が任意に設定可能な化学吸収方式による燃焼後回収技術を採用している。低温時にCO2を吸収し、高温時にCO2を放出するという特性を持つ水溶液を活用し、CO2を分離する。
また、東芝は独自触媒電極を用いて、工場などから排出されるCO2からプラスチックや塗料、医薬品など化学品や燃料の原料となる一酸化炭素に変換する技術を開発しており、2020年代後半の実用化を目指している。
旭化成は、CO2を原料に自動車や家電などの部品に使われるポリカーボネート樹脂を開発・商用化。また、CO2を原料に靴やカバン、塗料など幅広く使われるポリウレタンの製造も目指す。自動車塗装向けでは2022年に試験販売し、2026年に商業設備の稼働と事業化を目指す。
太平洋セメントは、セメント製造工程で発生するCO2を再資源化し、セメント原料や土木資材などの建設資材に再利用する技術を開発する。2020年6月にはセメント製品のコンクリートを解体する際に発生する廃コンクリートにCO2を固定し、高純度のカルシウムを分離して、セメント原料として再利用する技術開発がNEDOの公募事業に採択された。
伊藤忠商事は、2021年8月にCO2固定化技術を持つ豪MCiに出資。製鉄工程で生じる副産物や火力発電で生じる石灰炭などにCO2を反応させ、炭酸カルシウムなどを製造する技術で、この技術は半永久的にCO2を固定化し、かつ有用な成果物を創出できることから、脱炭素の流れを加速させる技術として注目されている。伊藤忠商事は、MCiに日本での実証プラントの候補地の紹介・選定やMCiの技術で製造された炭酸カルシウムやこれらを使用したセメント、コンクリートなどの活用・販路開拓に取り組む。
広栄化学工業は、二酸化炭素吸収材に向けたイオン液体を開発。イオン液体は蒸気圧が低くガス相へ溶出せず、幅広い温度範囲で利用できることなどから、イオン液体を利用した燃焼排ガスからの二酸化炭素回収プロセスの開発を進めている。
JFEスチールは1000億円を投じて、設備を更新し、30年度までに二酸化炭素(CO2)排出量を2割以上減らす。JFEエンジニアリングは、ごみ焼却施設の排ガスからCO2を回収する装置を作り、実証実験を実施。2022年をめどに効率的なCO2回収方法を探る。
日本製鉄が50年に二酸化炭素排出ゼロ目標を打ち出したことで、世界の製鉄大手の足並みが揃った。切り札とされるのが、水素を活用して二酸化炭素排出量を30%削減する技術「コース50」だ。君津製鉄所で試験高炉が稼働しており、JFEスチール、日新製鋼、神戸製鋼所が参画している。「コース50」はコークスを水素に置き換えて還元工程での二酸化炭素発生を抑える技術で、30年までに実用化を目指しているが、試験炉の容積は実働高炉の500分の1と小さく、現時点では排出量10%削減を達成したレベル。
国際石油開発帝石と日立造船は、二酸化炭素と水素からメタンを合成する試験設備を完成させ、カーボンリサイクルに取り組んでいる。
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