株テーマ:バイオマス発電の関連銘柄
太陽光発電、風力発電に比べて影が薄いが、CO2排出の観点でみると、植物系燃料を用いるバイオマス発電は、再生可能エネルギーの切り札的存在。非食用植物由来の研究が進み、建設用廃材利用や、森林廃木利用も盛んとなっている。発電コストは太陽光発電とほぼ同じで、天候や時間帯に左右されない。環境装置を手掛ける多くの企業が参入している。
政府はバイオマス発電能力を2021年の約450万キロワットから2020年度に800万キロワットまで引き上げる計画。国内の電源に占める比率は2.6%から5%に高まる見通しで市場拡大が期待される。
イーレックスは900億円を投じ、世界最大級のバイオマス発電所の事業化に取り組むと報じられている。出力30万キロワットで、70万世帯分の電力に相当する。また、50万キロワット級のバイオマス発電へ向けて、ベトナムやフィリピンで大規模な植物燃料生産を始める。ENEOS HDと共同事業化を検討し、1000億円を投資する。2023年に新潟県で着工し、2026年度に稼働を目指す。
イーレックスは、ベトナムで3000億円を投じ、2035年までに出力5万-13万キロワットのバイオマス発電所を20基以上新設する。電力需要が急増しているベトナムの電力不足に対応する。また石炭火力発電所を買収してバイオマス発電に転換することも視野に入れる。大手電力から石炭火力発電所を4基買収し、バイオ燃料にベトナムで育てる植物「ソルガム」を利用したバイオマス発電所に改装する。投資額は数百億円とみられる。
レノバは、大型バイオマス発電事業の唐津バイオマスへの投資を決定した。レノバは運転中の秋田バイオマス発電所・苅田バイオマス発電所の他、石巻ひばり野、仙台蒲生、御前崎港、徳島津田で建設を進めており、国内7カ所目となる。設備容量は49.9MWhで、年間に一般家庭11万世帯への電力使用量に相当する。燃料には国内の未利用材から作られた木質ペレットやパーム椰子殻を使用する。
レノバは再生可能エネルギー事業専業で、太陽光、バイオマス、風力、地熱を併せると開発中を含め、総設備容量が180万キロワットとなっている。今後は洋上風力にも注力し、3-5年後に300万キロワットまで拡大する目標を掲げている。レノバの株価は割高との指摘もあるが、11月頃までに結果が判明する70万キロワット級の秋田県沖の洋上風力発電を受注できれば規模が一気に拡大する。
東洋エンジニアリングは、発電プラントを中心としたインフラ分野を中核事業の1つに位置づけ、バイオマス発電所の受注に積極的に取り組んでいる。
出光興産は豪州で木質バイオマス燃料の製造試験を始めた。住友重機械工業は、バイオマス設備の製造販売を展開する。国内や欧州でバイオマス発電設備の受注が増加し成長している。岩谷産業は、5万キロワットのバイオマス発電およびグリーン液化水素製造の事業化に向けた検討を開始した。パーム椰子種殻や木質ペレットなどのバイオマスら水素を製造し、マイナス253℃まで冷却して液化する設備を併設する。
月島機械は、ヤンマーエネルギーシステムなどと、長野県で「諏訪湖流域下水道豊田終末処理場消化ガス発電事業」契約を締結し、2022年10月から発電を開始する。月島機械は、下水処理場の汚泥処理設備やガス貯蔵設備などを手掛けており、消化ガス発電を全国に展開し、電力消費量換算で2万9000世帯相当を供給している。