株テーマ:リチウム空気電池の関連銘柄
リチウム空気電池は、正極の炭素や樹脂で空気中から酸素を取り込み、化学反応を起こすことで、負極のリチウムと反応させて電気を作る仕組み。空飛ぶ自動車やウエアラブルデバイス、ドローン、ロボットなどあらゆる産業への拡張性を持つ電池として期待されている。電極がいらないため、軽量化により「空飛ぶクルマ」への応用が期待される。
FDKは、BRO触媒を酸素還元触媒として使用した空気極を用い、負極には、超格子水素吸蔵合金を用いた空気二次電池を開発している。充電に強いBRO触媒を用いた空気極により、安定した充放電を実現し、バイポーラ型セルを採用することにより積層可能で低抵抗なセルを開発した。2023年のサンプル出荷開始を予定。再エネ向けを想定する。
東レは、2022年6月に空気電池用イオン伝導ポリマー膜の創出に成功したと発表。リチウム空気電池のセパレータに適用することで、EVや産業用ドローン、UAMなどの航続距離拡大に貢献する。
東邦チタニウムは、車載電池向けに容量を5倍にする技術を開発。古河電池は、負極材にマグネシウムを使い、大容量空気電池を開発。トヨタは、独BMWグループとリチウムイオン電池を共同研究し、高容量の金属空気電池も研究。FDKは、電解液が不稔性の水溶液で、負極は水素吸蔵合金を使うことで、リチウム空気電池の早期実用化を目指している。三菱ケミカルはIBMと組みリチウム空気電池の開発モデルケースに量子コンピューターを活用する。
また、国立研究開発法人「物質・材料研究機構」は、カーボンナノチューブ空気極により超高容量なリチウム空気電池を開発した。従来のリチウムイオン電池の15倍に相当する極めて高い蓄電容量を実現している。2020年12月20日、物質・材料研究機構、科学技術振興機構、ソフトバンクはエネルギー密度の高いリチウム空気電池で、サイクル寿命を延ばすことが期待される研究成果を発表し、リチウム空気電池の早期実用化への期待が高まってきた。リチウム空気電池内部の副反応抑制手法を確立する。
オハラは、物質・材料研究機構やソフトバンクと共同で、リチウム空気電池の劣化を抑える技術を開発した。
日経新聞は「韓国サムスン電子が現行のリチウムイオン電池、次世代の全固体電池に続く、次次世代の空気電池を開発する」と報じている。2030年までの実用化を目指し、試作品段階だが、小型軽量化が可能で、電気自動車(EV)の航続距離を飛躍的に伸ばすことができる。
当面はリチウムイオン電池が主流。全固体電池の登場も2022年頃とされるが、電池の進化は止まらない。
東北大学は、リチウム空気電池を長寿命化するカーボン新素材の正極を発見した。次世代蓄電池として期待されるリチウム空気電池では、エネルギー密度が既存のリチウムイオン電池の数倍以上に達するとみられているが、劣化が激しいため、繰り返し充放電できないことが課題となっている。