株テーマ:量子コンピュータの関連銘柄
量子コンピュータ関連株。
量子コンピュータには、主に「量子ゲート方式」と「量子アニーリング方式」の2種類がある。
・量子ゲート方式=汎用的な計算が可能で、量子ビットや重ね合わせを利用
・量子アニーリング方式=組み合わせ最適化に特化する。
また、量子コンピュータは大きく分けて二種類の計算方式がある。
・量子ビット型=空間上にビットが固定されたタイプで、超伝導、イオントラップ、冷却原子、シリコンなどがある。
・量子モード型=空間上にビットが固定されていないタイプで光量子コンピュータが該当する。東京大学で2種類の光量子コンピューターの開発が進んでいる。
企業が商用レベルで不自由なく使うには20~30万量子ビット程度が必要とされるようだ。
富士通と理研は、2023年10月に理研が2023年3月に公開した国産初号機となる64量子ビット超電導量子コンピューターの開発ノウハウをベースに、新たな64量子ビットの超電導量子コンピューターを開発したと発表した。超電導量子コンピューターと世界最大級の40量子ビットの量子コンピューターシミュレータを連携して利用できるハイブリッド量子コンピューティングプラットフォーム「Fujitsu Hybrid Quantum Computing Platform」を開発し、金融や創薬をはじめとする様々な分野の共同研究を行う企業などに提供する。今後は、1000量子ビット級の超電導量子コンピューターを実現する技術開発を推進する。
フィックスターズは、量子コンピューターで先行していたカナダ「D-wave」などで使用可能な共通ライブラリーを開発している。また、豊田通商グループのネクスティエレクトロニクスと合弁会社を設立し、デンソーと量子コンピューターの大規模実験を行っている。2020年10月には量子コンピューター技術を活用したアプリケーションの開発者向けに量子アニーリングマシン向け開発プラットフォームの提供を開始した。
これまで開発者に要求されていたマシンの実行から結果の取得までの複雑なプロセスが大幅に自動化されるとしている。2021年10月には量子コンピューターを使ったアプリ開発やシステム運用を実現するためのクラウドサービス「Fixstars Amplify」を推進するため、子会社を設立。2022年10月には住友商事とFixtars Amplifyのパートナー契約を締結し、物流倉庫での実運用を開始した。
NECとNECフィールディングは、量子コンピューティングを活用した保守部品の配送計画立案システムを構築し、2022年10月から東京23区内での保守部品配送を対象に本格導入。毎日2時間かかる翌日分の保守部品の配送計画立案作業が12分に短縮されるとしている。NECは2019年12月に量子コンピューターの草分けとされるカナダのDウェーブに1000万ドルを出資。オーストラリアのパリエティ・クアンタム。コンピューティング(PQC)と協業。
オキサイドは、2022年5月にLQUOMと資本業務提携し、長距離量子通信機器の実用化に向けた研究開発を行う。
JSRが出資する英ケンブリッジ大学発のベンチャーCQCは、量子コンピューターを使いやすくするソフトなどで、日本に本格参入する。両社は米IBMの量子コンピューターの商用化向け連携組織「IBM Q Network」の一部で、量子科学は量子コンピューティングを初めて実世界で応用したものとされており、新しい材料の開発や発見で成果を上げることが期待される。両社は2019年10月に最先端の量子アルゴリズムの実行に成功したと発表していた。CQCは2020年から国内企業への販売や共同研究を開始する。JSRは、QunaSys(キュナシス)とも2019年3月から材料開発に用いるために必要な量子科学計算アルゴリズムの開発を開始している。
テラスカイは、子会社Quemix(キューミックス)を設立して量子コンピューター市場に参入。米IBMの量子コンピューター「IBM Q」の利用契約を結び、商用化向けの連携組織「IBM Q Network」に参加している。2020年12月8日にはJICベンチャー・グロース・インベストメンツが運営するファンドを引受先とする第三者割当増資で3億円の資金調達を完了している。
ブレインパッドは、フィックスターズやデンソーと量子アニーリングマシンによる情報処理技術の研究が注目される。
ユビキタスAIコーポレーションは、量子コンピューターに対応した暗号で安全性を保つ技術を持つ。
エヌエフ回路設計ブロックは、量子コンピューターの性能の鍵を握る超電導素子の信号処理で超低雑音増幅技術が注目されている。
KDDIは、日本で初めて量子コンピューティング技術を活用し、基地局の通信品質を改善した。東京都・神奈川県の一部の基地局約1000局の最適化を約60分で計算し、動画などの大容量コンテンツを今まで以上に快適に利用できるようになった。
電子部品および製品の販売を行う専門商社であるシンデン・ハイテックスは、量子コンピュータ向けクラウドサービスやアプリケーション開発のリーディングカンパニーであるblueqat(ブルーキャット)と提携し、高性能GPU搭載サーバの販売及び、量子コンピューティングサービスの提供を皮切りに量子コンピュータ市場へ参入する。
産業技術総合研究所が米IBMと次世代の量子コンピューターの研究開発で連携すると報じられた。量子ビット数は1万超で、エラーが少なく、高度な計算がしやすくなるという。投入は2029年以降を予定する。
自然科学研究機構・分子化学研究所は、2024年2月に冷却原子方式と呼ばれる量子コンピューターを手掛ける新会社を2024年度に立ち上げると発表した。分子化学研究所主導で設立し、富士通、日立製作所、NEC、浜松ホトニクスなど10社が参画。2026年度に試作機を作り、2030年度までに商用機の実現を目指す。
期待が大きい光量子コンピューターは、計算誤りを自ら訂正する機能に必要な基本素子「GKP量子ビット」の実現が必要とされる。2024年1月にGKP量子ビットを光によって作り出すことに世界で初めて成功したと東京大学などの研究グループが発表した。
東大は2020年7月、慶應義塾大、東芝、日立製作所、みずほフィナンシャルグループ、三菱UFJフィナンシャル・グループ、JSR、DIC、トヨタ自動車、三菱ケミカル、日本アイ・ビー・エムと、「量子イノベーションイニシアティブ協議会」を設立すると発表した。東京大学と日本IBMは、2021年7月27日、国内で初めてとなる商用量子コンピューターの稼働を始めたと発表した。
「新しい資本主義」で成長戦略の柱に位置づける新たな国家戦略の原案で、「国産量子コンピューター」の初号機を今年度2022年中に整備することを盛り込んだ。また2030年までに量子技術利用者を1000万人に増やす目標も掲げている。