株テーマ:注射器:特殊注射器が不足の関連銘柄
●日本金属は、21年5月に施行される欧州医療機器規則コバルト規制に対応する注射針向ステンレス鋼「NK-304NKM」を、11月30日に出荷開始予定と発表した。海外メーカーは対応出来ないところが多いと見られる。注射針販売シェアは、国内約52%、海外約58%。
●ファイザー製ワクチンは1瓶当たりの接種回数が6回可能だが、特殊な注射器が必要で品不足となっている。このため、国内接種は1瓶あたり5回の接種で対応する。ファイザーのワクチン仕様変更では一般的な注射器では対応できず、筋肉注射用の「ローデッド品」が必要になる。多くの国内メーカーは生産しておらず、ニプロがニプロ・タイランドで生産している。厚生労働省からの増産要請で、ニプロは月産50万本から月産数百万本への増産を検討。
不二精機は注射器の金型を製造している。テルモもローデッド注射器の開発に乗り出す模様。
テルモが、米ファイザー製の新型コロナウイルスワクチンで7回の接種が可能な注射器を開発し、厚労省が製造販売を承認した。21年3月末から生産を始める見通しで、初年度は2000万本の生産を予定する。
エア・ウォーターは、ファイザー製の新型コロナワクチン1瓶から6回接種が可能な「ローデッドスペース注射針」を開発し、2021年4月1日から国内販売を開始。2022年3月までに海外向けも含めて約3億本の生産を予定する。
●マイクロニードル(微細な針)を皮膚に貼る方法で、患者は痛みを感じなくなる。皮下注射などは強い痛みがあるため、開発が加速する。東レエンジニアリングは、注射器の代用として薬物を貼り薬として表皮内投与する2層マイクロニードル製造装置を開発。メドレックスはマイクロニードルアレイについて国内で特許を取得。
●テルモが1963年に、日本で初めて発売したプラスチック製の使い切り(ディスポーザブル)注射器は、「重要科学技術史資料(未来技術遺産)」に登録された。使い捨て注射器市場は、コロナワクチン接種もあり、今後数年間で大きな成長が期待される。加藤厚労相は、新型コロナワクチンを全国民に供給するため、テルモやニプロ、JMSなどのシリンジと針を製造する医療機器メーカー6社のトップと会談し、増産を要請した。