株テーマ:令和の米騒動の関連銘柄
2024年後半、日本国内で「令和の米騒動」と呼ばれる事態が発生している。全国的な米の価格高騰に加え、大規模な自然災害が相次いだことで消費者による買いだめが発生し、市場に混乱が広がっている。背景には、天候不順による生産量の減少、輸入コストの上昇、そして災害によるパニック需要の増加がある。
・自然災害と買いだめの連鎖
2024年は、猛暑や度重なる台風、さらには大地震といった天災が相次いだ。特に、東日本地域で発生した大規模地震は、物流の混乱を引き起こし、一部地域では一時的に米の供給が滞った。これが消費者心理を刺激し、**「米がなくなるのではないか」**という不安から買いだめが発生した。
スーパーや通販サイトでは、人気ブランド米の売り切れが続出し、買い占め行動が全国へ広がる形となった。こうした需要の急増がさらなる価格高騰を引き起こし、米市場全体を揺るがしている。
・米価格の上昇とその要因
2024年の国内米生産量は、不作の影響で前年比約5%減少し、一部品種では10%以上の減産となった。さらに、円安と世界的な物流コストの上昇が影響し、輸入米の価格も上昇した。特に、アメリカやタイからの輸入米は前年より20%以上の値上げが行われ、国内米の価格も連動して高騰した。
加えて、消費者の「非常時に備える心理」が働き、通常の市場価格以上の高値でも購入されるケースが相次いだ。この状況を受け、政府は備蓄米の一部放出を決定し、市場の安定化を図ろうとしている。
・消費者と企業への影響
米の価格上昇と供給不足は、消費者の生活だけでなく、外食産業や食品メーカーにも影響を及ぼしている。特に影響を受けるのは、弁当・おにぎりチェーンや牛丼チェーン、冷凍食品メーカーなどだ。
一部のコンビニチェーンでは、米を使用した弁当やおにぎりの価格を数十円単位で値上げする動きが出ている。また、大手外食企業も仕入れコストの上昇を受け、価格改定の検討を進めている。
2871 ニチレイ:冷凍食品大手で、冷凍米飯の販売を手掛ける。米の価格上昇がコスト増となる一方、冷凍食品の需要増で売上増も期待される。
2002 日清製粉グループ本社:米粉関連の事業も展開しており、米不足による代替需要が追い風となる可能性がある。
1332 日本水産:冷凍食品の分野で米を使った製品を展開しており、価格転嫁が業績にどう影響するか注目される。
2702 日本マクドナルドホールディングス:外食産業の代表企業で、米を使用したメニュー(ライスバーガーなど)の価格変動が業績に影響を与える可能性がある。
2768 双日
食品流通事業で米の輸入販売を手掛ける。外食・コンビニ向けの取引も多い。
9076 セイノーホールディングス
物流を中心に展開するが、食品輸送の一環として米の流通にも関与。
JA全農にいがたは、2025年産コシヒカリの買い取り価格を60キロ当たり2万3000円に設定すると決定した。これは2024年産比で35%(約6000円)の大幅上昇で、3月2日に日本経済新聞が報じた。従来は秋頃に価格提示が行われるが、今回は異例の前倒しだ。
米価は2025年も高止まりする見通しだ。政府は備蓄米21万トンの放出を3月10日から開始するが、年間消費量約700万トンに対し効果は限定的とされる。JA全農にいがたの価格決定を受け、他産地も追随する可能性が高く、全国平均で60キロ当たり2万円超が定着するとの見方が広がっている。