経済産業省は3月31日、次世代半導体の国産化を目指すラピダスに対し、2025年度に最大8025億円の追加支援を行うことを発表した。これにより、2022年度以降の累計支援額は1兆8225億円となる見込みだ。

今回の支援は、北海道千歳市で建設中の工場におけるパイロットラインの立ち上げを後押しするものだ。このラインは、2ナノメートルプロセス技術の確立を目指した製造装置や生産管理システムの開発、原材料調達などに活用される予定である。具体的には、前工程（回路形成プロセス）に最大6755億円、後工程（パッケージングや検査）に最大1270億円が割り当てられる。

ラピダスは2027年までに2nmプロセス半導体の量産を目指しており、この技術はAI、自動運転、量子コンピュータなど次世代産業基盤を支える重要な要素となる。現在、台湾TSMCが独占的地位を持つ市場への挑戦として、日本政府は経済安全保障の観点からもこのプロジェクトを支援している。

政府はこれまでにも「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業」を通じてラピダスへの支援を行ってきたが、今回の決定でその姿勢をさらに強化した形だ。また、官民連携による1000億円規模の追加出資も予定されており、日本国内での半導体生産体制の強化が加速する見通しだ。