注目銘柄

    AIチップ覇権争いの舞台裏 ~孫正義の1000億ドル大勝負~
    (9984)ソフトバンクグループの孫正義会長が推進する「プロジェクト・イザナギ」。この壮大な構想が明らかになったのは2024年初頭のことだ。最大1000億ドル(約15兆円)を投じ、エヌビディアに匹敵するAIアクセラレータを開発・販売する企業の創設を目指すという。

    ソフトバンクGは2024年5月、傘下の半導体設計企業アームに専門の事業部を設置。2025年春までにプロトタイプ製品を製造し、同年秋には量産開始を目指している。この動きは、グループ全体でAI半導体事業に本腰を入れる姿勢の表れだ。

    2024年7月には英AIチップメーカーグラフコアを買収。アームのCPUアーキテクチャとグラフコアのAIアクセラレータ技術の統合は、極めて戦略的な意味を持つ。グラフコアが持つエヌビディアのCUDAに匹敵するソフトウェアスタック「Poplar」の獲得により、エコシステムの構築が可能となった。

    半導体チップの生産に関しては、当初インテルとの提携を模索していたが、ソフトバンクGの要求する生産速度と量を満たせず交渉は決裂。現在はTSMCとの交渉を進めているが、TSMCはエヌビディアを含む既存顧客の需要対応に追われており、合意には至っていない。

    エヌビディアを凌駕する超高性能AIチップの開発は、技術的にも資金的にも極めて困難な挑戦だ。しかし、アームの設計力とグラフコアの技術を組み合わせることで、競争力のある製品を生み出す可能性はある。

    ソフトバンクGの野望は壮大だが、実現へのハードルは高い。半導体生産能力の確保、巨額資金の調達、技術的優位性の獲得など、課題は山積している。しかし、孫氏の果敢な経営手腕と、グループが保有する豊富な技術資産を考慮すれば、一定の成果を上げる可能性は十分にある。

    2025年もソフトバンクGから目を離せない。孫正義は、未だ手の内を見せようとはしないが、オープンAIへの出資は最終顧客を手中に収めたとも見ることが出来る。全てが明らかになった時の株価は、初夢をも上回る可能性がある。

株式情報更新 (1月5日)


会員ログイン

パスワードを忘れてしまった場合

申込みがまだの方