株テーマ:EUVレジストの関連銘柄

EUVレジスト関連株

デジタル製品の高性能・小型化のために、半導体回路の微細化がある。フォトレジストは、回路を形成する感光で、化学メーカーが優位。次世代向けに回路形成用素材を開発し、ナノ(10億分の1)レベルの競争となっている。EUV(極端紫外線)の露光技術がオランダのASMLによって確立され、台湾のTSMCと韓国サムスン電子が量産化に向けて巨大な投資を行っている。

2021年の半導体フォトレジスト市場は前年比6%増の19億8000万ドル、2025年には23億7000万ドルに拡大すると予測されている。半導体需要の増加で、フォトレジストも供給が間に合わず、販売額は今後も伸びていく。EUVレジストは前年比約90%増の5100万ドルと大幅増で、25年まで年率53%で伸びるという。ロジック系からDRAMでもEUVの採用が進むことが背景。現在TSMCとサムスンのみが採用しているが、インテルもロジック系で採用する見込みとなっている。


フォトレジストでは(4186)東京応化工業と(4185)JSRが世界トップシェアを争う。(4063)信越化学工業、(4005)住友化学、(4901)富士フイルム HDの上位5社で、世界シェアの9割を占めている。転写する回路パターンの複雑化・微細化のために高い解像度が求められ、フォトレジストに不純物が入れば、転写回路に傷がつくため、参入障壁は非常に高い。フォトレジスト関連の製造能力増強では、(4041)日本曹達、(4043)トクヤマも注目される。

フォトレジストの主な原料のひとつのEUV向け超高純度溶剤はKHネオケムが手掛けている。不純物を取り除くために極めて重要。EUVフォトレジスト感光剤では東洋合成工業。モノマーでは大阪有機化学工業が注力している。大阪有機化学工業はレジスト原料のモノマーで世界シェア7割を占めており、ArF露光用レジスト原料が好調を保ち、EUV向け試作品も出荷し、徐々に採用が増えている。

東京エレクトロンは蘭ASMLとベルギーの研究機関アイメックが共同運営する研究所に次世代EUV装置を納入する。ASMLのEUV露光装置と東京エレクトロンの塗布現像装置(コータ・デベロッパ)を一体化したものだが、使用するレジストは次世代の塗布型メタル含有レジストにも対応させるようだ。塗布型メタル含有レジストは、一般的な化学増幅型レジストに比べ高い解像度を持つため、さらなる微細パターン向けレジストとして期待されている。レジストは東京応化工業やアイメックと合弁会社を運営しているJSRのどちらか、または両社から供給される見込み。

富士フイルムが、EUV(極端紫外線)材料の感光材(フォトレジスト)に参入すると、報じられた。元々富士写真フイルムの技術を活かして、光を使って回路パターンをシリコンウェハ上に焼き付けるマイクロリソグラフィ工程用のフォトレジストを製造しており、微細化、短波長化の研究も進めていた。報道では、静岡工場に45億円を投じて、21年中に量産を開始するようだ。

住友化学は、EUVなど最先端プロセス向け半導体レジストの生産能力を引き上げ。2024年度に2019年度比で約2.5倍と2022年~2024年度の次期中期経営計画期間中に飛躍的な事業規模拡大を目指す。大阪工場では、フォトレジストプラントに新製造ラインを増設し、2022年度上期の稼働を予定。さらに液浸ArFとEUVフォトレジストの製造ラインも増設し、2023年度上期の稼働を予定する。韓国の益山工場では、液浸ArFフォトレジストの製造プラントを新設し、2024年度上期の稼働を予定する。


信越化学工業は、フォトレジスト増産で日本と台湾で300億円の設備投資を実施する。2022年2月までの工事完了を目指す。国内のみで生産していたEUVレジストを台湾でも生産する。信越化学はフォトレジストの世界シェアが約2割で、先端品に限ると4割以上とみられる。

ADEKAは、EUVをはじめとする半導体の最先端フォトレジスト向け光酸発生剤の生産能力を増強。投資額は27億円。生産能力増強は2倍以上で、2022年3月に着工し、2023年度中の運転開始を予定する。

JSRは、2021年10月にメタル系EUVフォトレジストを開発するInpriaを約450億円で買収。EUV工程でのパターニングコストの大幅な削減に貢献する。

群栄化学工業は、日本で初めて半導体フォトレジスト用ノボラックの製品化に成功し、業界で世界唯一のg-線から最先端のEUV(極紫外線)向けレジスト材料の一貫した開発と生産技術をもつ。フェノール樹脂は世界でも有数で、フォトレジスト用のノボラック型フェノール樹脂を3割増産する。

三菱ケミカルグループは、最先端の極端紫外線(EUV)レジストの初の量産化


レジスト材料

・ポリマー
4202ダイセル
ポリマーで国内シェア2割、280億円を投じポリマーの生産能力を倍増する

4901富士フイルム HD(富士フイルム和光純薬)
最先端のフォトレジスト材料酸発生剤、ポリマー


・モノマー
4187大阪有機化学工業
45億円を投じ、世界シェア7割のモノマーの生産能力を3割増やす


・感光剤材料
4970東洋合成工業
フォトレジスト用感光性化合物のトップメーカー

4216旭有機材
フォトレジスト(感光性樹脂)の原料となるフェノール誘導体を製造


・ソルダーレジスト
4626太陽 HD
プリント配線板の耐熱性材料



韓国への半導体材料の輸出制限3品目では、レジストの市場規模が大きく、最先端のEUVレジストの輸出は少量しか許可されていない模様。東京応化工業はトップメーカーで、韓国内に製造工場を持つことから、本命株と言えそうだ。

サムスン電子は東京応化工業との合弁会社「TOK尖端材料」(東京応化90%、サムスン物産10%)で量産を急いでいる。ArF(フッ化アルゴン)、KrF(フッ化クリプトン)用のレジストも量産するが、サムスン電子は7ナノメートル以下の工程ではEUVリソグラフィを利用している。

・フォトリソグラフィプロセスでの露光光源の変遷
g線(波長436 nm)→i線(波長365 nm)→KrF(波長248 nm)→ArF(波長193 nm)→EUV(波長13.5 nm) ※nm(ナノ)は10億分の1メートルで、光源の波長が短いほど、微細な回路を形成できる。日本は2002年から経産省とNEDOが主導し、極端紫外線露光システム技術開発機構を設立していたが、ニコンやキャノンは露光装置開発を断念した。周辺技術の蓄積は進んでいる。


日本ゼオンが開発した次世代電子部品向けポジ型電子線レジストが、EUV(極紫外線)向けの最先端レジストとして注目されている。

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