株テーマ:GIGAスクール構想の関連銘柄

総務省は、児童生徒の学びの質の向上を図るため、遠隔教育システムの導入促進をはかる「学校ICT環境整備促進実証研究事業」(遠隔教育システム導入実証研究事業)を実施している。新型コロナウイルスの感染拡大で休校が長引いており、オンライン授業の必要性が叫ばれているが、普及は私立校などの一部にとどまり、公立校ではごく一部とばらつきがある。文科省によると4月16日時点で休校中の1213自治体のうち、デジタル教材を使うのは29%で、双方向型のオンライン教育は5%に留まっている。

教育現場におけるICT(情報通信技術)の整備の遅れは深刻で、文部科学省は小中学生を対象にしたデジタル端末の購入費を増額するなどの措置をとるが、使いこなせる教員が少ないとも言われ、普及には時間がかかる。OECD(経済協力開発機構)加盟38カ国の教育向け公的支出の平均はGDPの4.1%で、日本は2.9%で37位に留まっている。

2020年9月のノートパソコンの国内出荷台数は、GIGAスクール構想で地方自治体から受注が本格化し、前年同月比61.2%増の133万4000台となった。


●GIGAスクール構想
児童生徒のICT(情報通信技術)環境を整備し、デジタル端末1人1台の実現、校内Wi-Fiネットワークの整備を促進するGIGAスクール構想には、2019年度補正予算で2318億円が計上された。その後、2020年度補正予算で2292億円を計上し、家庭でのオンライン学習支援や、GIGAスクールサポーターの配置などが追加されたが、デジタル端末の在庫不足で、21年3月末までに1人1台を配備することは困難になっている。デジタル教科書の導入も進まず、在宅学習の普及が危ぶまれている。

「経済財政運営と改革の基本方針2020」には、GIGAスクール構想を加速し、効果的な遠隔・オンライン教育の早期実現が、明記されている。GIGAスクール構想が2023年度末から20年度内に前倒しされ、児童生徒1人につき1台の学習用端末を配備するための予算が2292億円計上されている。このため全国で1000万台の端末特需が発生するが、デジタル教材の普及も目覚ましいものがある。



8057内田洋行
ICTを利用した学習支援・教育支援で学校教育機器ではトップ企業。新学習指導要領改訂を契機とした小中学校1人1台端末を活用するICT環境整備の大型商談を獲得。教科書改訂にともなうデジタル教科書の納入が拡大している。デジタル教科書や副教材ソフトを約900タイトルもの中から、学校ごとにコンテンツを選んで使用できるコンテンツ配信サービス「EduMall(エデュモール)」を運営している。


3107ダイワボウ HD
法人利用のパソコンでは3台に1台の関与していると言われ、新型コロナウイルス感染症への緊急経済対策により、児童生徒向けの1人1台端末と、高速大容量の通信ネットワークを一体的に整備するGIGAスクール構想が加速することから、学校での使用や、在宅学習に適した学習管理のクラウドサービスやモバイルルーターが伸びている。小学校のプログラミング学習必修化で家庭用端末も需要が増加する。


9783ベネッセ HD
学校ICT化を多角的にサポートする教育プラットフォーム「Classi(クラッシー)」は、全国の高校の2500校あまりで、116万人が利用している。学校と保護者間の「コミュニケーション」や、「ポートフォリオ」「学習動画」など、学校現場に必要なICT機能を備えている。Classiはクラウドサービスで、スマートフォン、タブレット、PCなどデバイスを問わず利用できる。


3933チエル
小・中学校から高校・大学向けの、授業改善に役立つ学習システムをはじめ教材、運用管理システム・セキュリティシステムまでをサポート、60種以上の製品・サービスを提供している。高校・大学のCALL教室向けに、講義支援システム「CaLaboEX」や画像転送システム「S600-OP」の需要が増加。教育委員会560以上、高校、大学1800校以上の導入実績があり、クラウド教材の利用者は300万人を突破している。


3998すららネット
すららとはインターネットを通じてゲーム感覚で学ぶことができる、対話型のeラーニングで、2020年4月末の導入校数は200校。休校中の学校を対象に生徒個人の理解度に合わせて学習を進めるデジタル教材を全国360校、約15万人に無償提供したことで注目を集めた。改正著作権法の施行によって、ネットを通じた遠隔授業で教科書などの著作物を無償使用できるようになり、デジタル教育の市場は拡大する。


3782ディー・ディー・エス
ディー・ディー・エスの多要素認証ソリューション「Themis」と日本HPのGIGAスクール構想に対応するChromebookを連携し、児童生徒へはQRコードをカメラにかざすだけでログインを、教職員には重要データの漏洩防止が期待できる顔とパスワードなどによる2要素認証を提供する。


6814古野電気
無線LANの子会社フルノシステムズは、文教向け販売に特化し、一躍学校無線LANのトップランナーとなっている。


デジタルアーツは、一部の教育委員会からセキュリティ対策の「i-FILTER」を受注している。各教育委員会からの受注本格化は21年3月期第2四半期(7-9月)以降となる見込み。

NECは、GIGAスクール構想の推進に向けて教育ICT事業を強化し、NEC教育クラウド「OPE」や学習者用端末、教育支援サービスなどの製品群を拡充。2021年2月25日から販売活動を開始し、5年間の累計で売上高1000億円を目指す。

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