株テーマ:深紫外線LEDの関連銘柄
新型コロナウイルスの感染対策として、紫外線による消毒・殺菌効果が認められており、照射用のLEDは波長280nm未満で品不足になっている。殺菌力を持つ波長域の紫外線照射は水銀ランプが主流だったが、健康被害の問題もあり、LED光源の開発が進んでいる。
ウシオ電機は3月4日に、ウイルスを不活化する「222nm紫外線殺菌・ウイルス不活化ユニット」の開発に着手し、国内医療機関で研究実験用ユニットの設置を開始すると発表し、日本と米国で新型コロナへの効果を確かめる実証実験を開始した。
ウシオ電機は、2020年8月13日、神戸大学との共同研究である222nm紫外線直接照射による人体皮膚への安全性と殺菌効果の両立を立証したと発表した。ウシオ電機の222nm紫外線殺菌・ウイルス不活化ユニット「SafeZone device」を用いて222nm紫外線を20人の正常皮膚に直接照射し、急性障害である紅斑の発生なく常在菌を殺菌したとしている。
ウシオ電機は、(6479)ミネベアミツミと抗ウイルス・除菌用紫外線照射装置を共同開発する。ウシオ電機は、照射角度固定式の「Care222 iシリーズ」を販売しているが、一台で複数箇所に照射できず、広い範囲の除菌が出来ない欠点があった。そこでミネベアミツミのスマートLED照明SALIOT(サリオ)の技術を融合し、灯具を可動させて紫外線を照射することのできる、「Care222 iシリーズ ムービングライトタイプ i-MVT」を共同開発する。
人体皮膚への安全性が立証されたことで、ウシオ電機が進めている病院や学校、商業施設や交通機関など有人環境での222nm紫外線を用いた紫外線殺菌・不活化が現実的となる。導入施設はさらに増えることになりそうだ。2020年8月26日には東芝ライテックと自動車や鉄道車両に搭載する装置や一般照明器具の開発で業務提携した。
テルモは日本での独占販売権を取得した米ゼネックス社の紫外線殺菌ロボット「ライトストライク」が、米国で新型コロナウイルスを除去する効果が確認されたと、報じられている。
岩崎電気は、空気循環式紫外線清浄器「エアーリア」などを複数の医療施設や介護施設に納入している。2021年12月には紫外線ランプで従来株と同様にデルタ株でも不活化効果で有効性を確認した。従来株とデルタ株の不活化効果は同等としている。また、紫外線による新型コロナウイルスの不活化メカニズムは、紫外線によるウイルスRNAの損傷によるものと考えられ、オミクロン株や今後新たに発生し得る新型コロナウイルス変異株に対しても同様の不活化効果があるものと考えられると評価されているとしている。
日機装は、2020年5月27日、空間除菌消臭装置「Aeropure(エアロピュア)」に搭載される深紫外線LEDについて、新型コロナウイルスの不活化試験を宮崎大学医学部の共同研究講座で実施し、有効性を確認したと発表した。新型コロナウイルスの感染価の減少率は、30秒、60秒照射後にともに99.9%以上としている。年間生産量を1万台から10万台に引き上げたが、需要はさらに拡大する。日機装が開発した深紫外線LED除菌装置「新・エアロテック-UV」は、三菱地所ホームの全館空調システム「エアロテック」に搭載された。
アルファクス・フード・システムは、紫外線光照射器を搭載した除菌AIロボットを2020年11月から販売を開始する。店内の紫外線殺菌は皮膚への影響も懸念されることから、人にできないことをロボットが補うことでウイルスや殺菌を可能にする。紫外線光照射器を搭載した除菌AIロボットは、山口県のドライブインみちしおが運営する温泉温浴施設に導入された。
星和電機は新型コロナウイルスの対策用紫外線LED開発に着手している。
米ニューヨーク市の交通当局は、新型コロナウイルスを殺菌できる紫外線C波(UVC)を照射する携帯機器で公共交通機関で試験を開始する。ランプは夜間、地下鉄の運行が停止しているときに点灯し、新型コロナに有効ならば、地下鉄やバス、輸送施設に拡大する計画。製造メーカーのPUROライトニングによれば、表面や空中の病原体を除菌し、ウイルスやバクテリアの99.9%を殺菌できるというが、日本メーカでも同様の効能を示す製品は多く、費用対効果が確認できれば、連想買いの対象となりそうだ。
ドイツの紫外線装置関連企業「ドクター・ヘンレ」が、UV−C(短波長紫外線)の照射が新型コロナウイルスの不活性化に極めて有効と報じられ、株価は一時34%急伸している。