株テーマ:レアアースの関連銘柄
レアアースは、レアメタルの一種で、埋蔵量が極めて少ない希土類。ごく微量な鉱物資源だが、ハイブリッド車や電気自動車の普及で、モーター用永久磁石(ネオジム)への需要が拡大している。水素吸蔵合金や、超電導ケーブル(イットリウム)などの需要もあり、資源が中国に偏在していることから、新たな鉱山開発が急がれている。大手商社はエコカー需要の高まりで、開発事業に本腰を入れ始めた。2013年3月、南鳥島周辺の深海域で高濃度のレアアースの存在を確認、中国の濃度の10倍で、商業化が期待されている。
政府は、小笠原諸島・南鳥島の深海にあるレアアース泥の採掘技術開発に着手する。2024年に試掘を始める予定。水深5000~6000メートルの海底を採掘する技術を開発する。2022年度第2補正予算に60億円の関連経費を盛り込んだ。
経産省は省・脱ジスプロシウム磁石モータ実用化開発事業を採択し、レアアース・レアメタルの使用量削減・利用部品代替に注力している。信越化学工業はネオジム磁石の原料で中国依存度を引き下げているが、中国が2020年12月1日に輸出管理法を施行し、世界シェア6割を占めるレアアースを戦略物資に指定し、輸出制限する可能性があるため、安定調達に懸念が生じている。
モーター性能を左右する高性能磁石に使うテルビウムやジスプロシウム、プラセオジムの価格が高騰している。EVモーターや風力発電機にも使用されるため、日米豪印の4カ国は中国依存を引き下げるため、調達網を再構築する。
双日とJOGMECは、2023年3月に豪ライナスに2億豪ドルの追加出資を決定したと発表した。ライナスが生産するマウント・ウェルド鉱山由来の重希土類であるジスプロシウムとテルビウムの最大65%を日本向けに供給する。軽希土類に加え、重希土類を日本市場向けに供給することが可能となる。
住友商事は、2023年2月に米MP Materialsが製造するレアアースの日本向け独占販売代理店契約を締結した。
東芝と住友商事は、カザフの国営カザトムプラムとそれぞれ合弁会社を設立し、レアメタル、レアアースの回収を開始。日本とベトナムはレアアースの共同開発に合意。
スウェーデンの国営鉄鉱石大手LKABは、2023年1月12日に欧州最大のレアアース鉱床を発見したと発表した。北部キルナでレアアース酸化物の埋蔵量は100万トン超を超えるとみられる。
オーストラリアは最大8億4000万豪ドル(約820億円)を投じ、北部準州でレアアース鉱山と精製施設の立ち上げを支援する。豪州政府はレアアースのほか、リチウムやニッケルなど重要鉱物について国内で下流工程まで手掛ける供給網の確立を目指している。