株テーマ:ワクチンコールドチェーンの関連銘柄

ワクチンコールドチェーン(低温物流)関連株

新型コロナウイルスのワクチンとして実用化が期待される米ファイザーのワクチンは-60度~-80度、モデルナのワクチンは-20度での保管が求められ、低温物流体制の構築が課題となる。

厚労省は、ワクチン保管のため、マイナス75度とマイナス20度の超低温冷凍庫をそれぞれ1万台を確保し、全国1万カ所の施設に整備する。オリンピック開催に向け接種を進める方針。


●ツインバードは、FPSC(フリー・ピストン・スターリング・クーラー)事業で新型コロナウイルス関連の保管・輸送製品を展開する。FPSCは天然のヘリウムガスを使用する完全なCFCフリーシステムで、小型で持ち運びが容易で、-50度以下の精密な温度制御に広く活用されているとしている。

FPSC事業では、海外企業を中心に欧米やアジア、アフリカなど14カ国以上から受注・引き合いがあり、2021年2月期の販売台数は3割増加する見込み。

ツインバードは、武田薬品と、モデルナ社の新型コロナウイルス感染症ワクチン用ディープフリーザーを2021年2月から4月まで5000台納入することで合意した。モデルナ社ワクチンの国内における医療機関等への輸送・保管用として使用される。

販売の本格化は新型コロナウイルスワクチン開発やコールドチェーン構築状況に依存するが、ワクチン製造会社による生産の本格的な立ち上がりは2021年以降と言われており、業績への貢献は2021年2月期第4四半期(2020年12月~2021年2月)から徐々に始まり、2022年2月期以降(2021年3月以降)に本格化すると予想している。


●神栄テクノロジーは、医薬品や食品など保管・輸送時の温湿度管理へ対応する温度ロガー「TempView」と温湿度ロガー「HygroView」を2021年1月より販売する。神栄テクノロジーと応用地質は、輸送中の貨物に関する各種情報をモニタリングし、異常発生のリアルタイム通知や輸送状態のレポートを自動作成する機能を持つ、クラウド型輸送貨物監視システム「TrecView Cloud」のサービス提供を2021年1月より開始する。

●エスペックは新型コロナウイルスワクチンの輸送用保冷庫を開発した。マイナス20度まで冷やせるため、モデルナワクチンに適しているほか、解凍後のファイザーワクチン運搬にも使える。


●ドライアイス
ファイザーは超低温でワクチンを運べるスーツケース大のコンテナを開発したが、コンテナには大量のドライアイスが必要で、ドライアイスは世界的に供給不足のようだ。製油所や化学工場から出る純度の高い二酸化炭素を原料とするため、脱炭素社会には逆行し、増産が困難になっている。物流大手のUPSはドライアイスを1時間に540キロ製造する設備を導入した。ドライアイスメーカーで上場会社系は、エア・ウォーター炭酸株式会社と昭和電工ガスプロダクツ株式会社、日本酸素HDの大陽日酸が大株主の日本液炭株式会社など。大阪ガス系列の長岡炭酸も21年4月までに製造設備を導入する。ドライアイスの原料は液化炭酸ガスで、日本液炭は液化炭酸ガスとドライアイス合計で1日350トン製造するために、60億円を投資する。

東邦アセチレンは、スノー状ドライアイスを液化炭酸ガスから製造する装置「マジックホーン」が注目されているようだ。


●冷凍庫
超低温冷凍庫で国内シェアの過半を握るPHCホールディングスは、2014年にパナソニック ヘルスケアとして設立され、2018年4月からPHCに社名変更した。冷凍庫では世界でも2割のシェアを持ち、21年1月から生産能力を3割増強する。パナソニックは新型コロナウイルスのワクチン輸送・保管向けの保冷容器を開発した。ファイザー製はマイナス70度、モデルナ製はマイナス20度での管理が必要だが、保冷剤の種類を変えることで両方に対応できる。

超低温冷凍庫は、PHCホールディングスが約3000台、EBACが約2800台、日本フリーザーが約2300台、カノウ冷機が約1700台を供給する。政府は、2月中に1510台、3月中に1860台を配送し、約6700台を4-6月にかけて配送する予定。


ワクチンの接種については、経験したことない大規模な作業となることから、AI insideは新型コロナワクチン摂取情報管理システムを自治体向けに提供する。2021年6月21日から職場でのワクチン接種が本格するが、モデルナワクチンが零下20度以下で保管する必要があるため、政府はワクチンや専用の冷凍庫・注射器を各企業に配送する方針。


岩谷産業は、ファイザーワクチンや医薬品等の保管・輸送に備えてマイナス70度前後を約10日間長期保持できる保冷箱の販売を開始した。電源は不要で医薬品の保管エリアを引き出し方式とし、ドライアイスに振れずに出し入れを容易にした。また、小型タイプで7日間保持できるタイプも発売予定としている。医療機関や自治体向けで、輸送状況や温度はスマホで管理できる。


ザインエレクトロニクスは、新型コロナワクチン保管用冷凍庫内の温度を監視できる「IoT温度監視システム」を開発し、サンプル出荷した。

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