エヌビディアは「CES 2025」において、AI関連の新技術を次々と発表し、大きな注目を集めた。最新の技術革新は、自動車、ロボット、ゲーム、そして個人向けAIシステムにまで及び、業界全体に新たな波を起こす可能性がある。

・個人向けAIスーパーコンピュータ「Project DIGITS」
エヌビディアは、個人向けAIスーパーコンピュータ「Project DIGITS」を発表した。この製品は、台湾の半導体大手メディアテックと共同開発した最新の「GB10 Grace Blackwell」を搭載している。Blackwell GPUと20コアのGrace CPUを統合し、128GBのメモリと最大4TBのフラッシュストレージを備えているのが特徴だ。

家庭用電源で動作し、2000億パラメータの大規模AIモデルを処理可能な性能を誇る。価格は3,000ドル（約45万円）からで、AI研究者、データサイエンティスト、学生をターゲットに2025年5月から販売が開始される予定だ。

・次世代物理AIシステム「Cosmos（コスモス）」
「Cosmos」は、物理AIシステムの開発を飛躍的に加速させる新しいプラットフォームとして登場した。自動運転車やロボット開発に特化した生成AIモデルで、9000兆トークン、2000万時間の実世界データを活用して学習している。

エヌビディアのGPUによる処理能力を活かし、2000万時間分の動画データをわずか14日で処理できるという驚異的な性能を持つ。この技術は、自動車業界やロボティクス業界における技術革新を加速させるとともに、(6701)日本電気や(6758)ソニーグループなど日本企業にもビジネスチャンスをもたらす可能性がある。

・自動運転分野の最新技術「DRIVE AGX」と「Orinチップ」
エヌビディアの自動車向け技術も大きな注目を浴びている。自動運転システム「DRIVE AGX」は、(7203)トヨタ自動車をはじめ、AuroraやContinental、BYD、メルセデス・ベンツ、ボルボなどの大手メーカーに採用されている。

特に「Orinチップ」は、1秒間に200兆回の演算を処理する能力を持ち、エッジデバイスの省電力化と高性能化を両立している。この技術は、次世代の高度運転支援システムにおいて重要な役割を果たしている。

・ゲーム向け「RTX 50シリーズ」
エヌビディアは新世代ゲーム用チップ「RTX 50シリーズ」も発表した。このチップは、テキストから物理法則に基づいたフォトリアリスティックな映像を生成可能な技術を搭載している。ゲーマーだけでなく、ゲーム開発者にとっても革命的なツールとなるだろう。

・今後の展望と市場影響
エヌビディアのジェンセン・フアンCEOは、「自動車業界はAIとロボティクスが最大産業になる」と語り、2026年度には自動車関連の売上が約50億ドルに達する見込みを示した。今回の発表がもたらす影響は、自動車業界だけでなく、AIを活用する幅広い分野に広がるだろう。

エヌビディアは、AI技術を武器にさらに存在感を高めるとともに、関連企業の成長も後押しすることになりそうだ。