台湾の電子機器受託製造サービス大手、鴻海（ホンハイ）精密工業が（7201）日産自動車の買収に名乗りを上げていると、ブルームバーグが報じた。日産はホンダとの経営統合に向けて協議開始の検討を始めたばかりだが、鴻海の参入により事態は新たな展開を見せる可能性が出てきた。

特筆すべきは、鴻海でEV事業の責任者を務めているのが、日産の元副COO（最高執行責任者）の関潤氏であることだ。関氏の存在は、鴻海による日産買収の実現性を高める要因となる可能性がある。

鴻海は近年、電気自動車（EV）事業を成長戦略の中心に据えている。2020年には独自開発したEVの試作車3車種を公開し、2025年までにEV事業で生産台数を年間50万～75万台、グループ売上高の5％、金額にして約3兆4000億円を稼ぎ出す目標を掲げている。

また、鴻海はZFグループの子会社と合弁で自動車用シャシーシステムの製造・組立を行う企業の株式50％を取得するなど、自動車関連技術の獲得にも積極的だ9。さらに、バッテリー管理システムや車載半導体の分野でも提携を進めており、EVの主要技術を網羅する戦略を展開している。