シャープが半導体レーザーの新たな用途として農業分野への応用を目指している。同社は最近開催された展示会で、害虫駆除や除草に利用可能な14Wの高出力レーザーモジュールの試作品を公開した。

このモジュールは従来から開発が進められていたが、今年は光学設計の改良により小型軽量化に成功したという。現在シャープは、蛾やバッタなどの害虫を自動追跡し、レーザーを照射して駆除するシステムの開発を検討している。

この技術の最大の利点は、農薬を使用しない点だ。そのため土壌への悪影響を避けられるほか、害虫が耐性を獲得するリスクも低減できる。シャープは害虫駆除にとどまらず、除草や害鳥対策にも同技術の応用を目指している。

農業分野における半導体レーザーの活用は、環境に配慮した持続可能な農業の実現に寄与する可能性がある。農薬使用量の削減は、食の安全性向上にもつながる。一方で、レーザー技術の農業応用には課題も残されている。システムの導入コストや、野外での長期使用に耐える耐久性の確保などが挙げられる。