株テーマ:燃料電池車(FCV)の関連銘柄
燃料電池車(FCV)関連株
燃料電池車(FCV)は、水素と酸素を化学反応させて発電し、そのエネルギーでモーターを回して走る車両だ。走行時に排出されるのは水蒸気のみで、二酸化炭素などの大気汚染物質を一切排出しないことから、地球温暖化対策として世界的に注目されている。市場規模は拡大傾向にあり、2032年には4287億ドル(約64兆円)と2023年の4.7倍に成長するとの試算もある。
トヨタ自動車(7203)
(7203)トヨタ自動車は、2025年2月に新型燃料電池システム(第3世代FCシステム)を開発したと発表した。従来比2倍の耐久性能を実現し、水素エネルギーの普及を加速する狙いがある。商用車や発電用途への展開も視野に入れ、素材の改良やセル構造の最適化により耐久寿命を向上させた。これにより、商用トラックやバス、発電設備への導入が進みやすくなり、水素社会の実現を後押しする。
また、2024年9月にはBMWと水素分野での協力関係を強化し、第3世代燃料電池システムを共同開発。両社のモデルに搭載し、第1弾として2028年にBMWの量産型FCEVの生産を開始する計画だ。
ホンダ(7267)
(7267)ホンダは、2024年夏に充電機能を備えたFCVを日本で発売する予定だ。水素を使用せず、充電のみで60キロメートルの走行が可能となる。また、製造コストを半減し、耐久性を2倍以上に向上させた次世代燃料電池を開発。2027年度に量産を開始する計画で、水素エネルギー分野での競争力強化を目指している。
同社は、米国ゼネラルモーターズ(GM)との協業を通じて燃料電池技術を改良。新型セルは、耐久性向上とコスト削減を実現しながら、従来型と比較して出力性能を維持することに成功した。EV市場の競争が激化する中、EVとFCVの双方の需要を取り込む方針だ。
ジェイテクト
ジェイテクトは、燃料電池自動車向けの「高圧水素供給バルブ」と「高圧水素減圧弁」を展開。2014年よりトヨタ自動車のFCV「MIRAI」向けに供給を開始し、2020年には新型「MIRAI」向けに第2世代品の量産を開始。さらに、2023年からは商用車向けに高流量対応の第3世代品を開発している。
トラック業界の動向
トラック業界では、当面はEV(電気自動車)トラックに注力するが、2030年代にはFCVトラックも主流になると期待されている。背景には、EUが商用車の二酸化炭素排出量を2025年までに現行比15%、2030年までに30%削減するよう求めていることがある。
ダイムラー:2020年代後半にFCVトラックを量産予定。傘下の三菱ふそうトラック・バスもコンセプトカーを発表。
いすゞ:ホンダと共同開発を進めている。
今後、燃料電池技術の進展と規制強化が相まって、FCV市場の成長が加速する可能性が高い。