株テーマ:抗体検査・抗原検査の関連銘柄

●抗体検査関連株

米国や欧州では、人がこれまでに新型コロナウイルスに感染していたかを調べる抗体検査の実施に乗り出す。感染から回復し、体にウイルスに対する免疫が備わっているかを把握することで、感染リスクの低い人から外出規制を緩和し、経済や医療現場の状況改善につなげたい考え。

新型コロナ関連で次のキーワードとなりそうなのが「抗体検査」と見られる。PCR検査が患者の体内に新型コロナウイルスが存在するかを調べるのに対して、抗体検査はいちど感染して症状のない患者で免疫が出来ているかを調べる。米国では既にNY州やカリフォルニア州で始まっており、全米で実施する体制を構築する。

イタリアやドイツ、フランスでも準備が進んできたが、国内では自民党の医師出身議員団が、抗体検査の早期実施を提言し、5月から実用化を目指している。

倉敷紡績は、研究用に新型コロナウイルスの抗体を15分で検出する検査試薬キットの販売を2020年3月16日から開始。中国の提携先企業が開発したイムノクロマト法の原理に基づいた検査試薬キットを日本に輸入し、販売を開始。この検査は、中国で標準診断法の1つとして3月4日に中国での診療ガイドラインに採用されたとしている。

セルスペクト(岩手県盛岡市)は、感染後に体内で産生される抗SARS-CoV-2抗体を検出すための研究用キットを緊急でリリースし、PCRとの併用で精度を高める。主要株主はみずほキャピタル、三菱UFJキャピタル、薬王堂。セルスペクトと薬王堂は無料の健康チェックで得られる健康情報と消費行動情報を統合したビッグデータを分析し、自治体や企業に提供する「ヘルステック」事業を展開する。

●塩野義製薬は、中国の「Vazyme」から輸入するIgG/IgM抗体検査キットの販売に関して、マイクロブラッドサイエンス社と業務提携する。検査キットは、感度94%、特異度97%と高い性能を持ち、一滴の血液から10分で検査結果が得られる。MRTは、2020年6月5日、塩野義製薬と新型コロナウイルス抗体検出キットの販売契約を締結した。


●医学生物学研究所は自己抗体検出による診断薬の開発で、国内占有率は90%以上。2020年4月20日に新型コロナウイルスに対する抗体を測定する研究試薬の取り扱いを開始した。ヒトの血液中に存在する新型コロナウイルスに対する抗体を定量的に測定する試薬で中国のYHLO社製。YHLOの試薬はイギリスやイタリアをはじめとした欧州諸国やアジア諸国でも利用されているとしている。


●堀場製作所は、新型コロナウイルス感染症の抗体検査チップシステム開発に参画する。産業技術総合研究所との共同開発で、AMED(日本医療研究開発機構)が支援する「新型コロナウイルスの信頼性の高い迅速診断システムの開発」の一環として実施される。免疫測定法や、検体検査技術での優位性を発揮し、開発したシステムを医療機器として実用化するための装置開発を担う。

専門知識を持たない操作者でも、検体を滴下したチップを用いるだけで結果を知ることができる、全自動タイプの測定装置となる予定。産業技術総合研究所は、血液や試薬をマイクロチップに塗布するだけで、高精度な検査を最短15分で可能とする免疫測定法を確立している。大阪大学発のベンチャー「ビズジーン」も参画する。


新型コロナのような治療薬のない未知の感染症に対しては、感染歴を調べる抗体検査による診断法の確立が重要となっている。新型コロナは軽症や無症状でPCR検査に至らないまま回復する人もいて、感染実態が把握出来ていない。血液検査で抗体の有無を調べることで、免疫が出来て感染しにくくなっていることが分かる。一定の地域で免疫を得れば感染が拡がらなくなるため、外出禁止を緩和する有効な手段ともなる。

中国や米国から検査キットが提供されているが、まだ精度が十分に実証されていない。血液採取で短時間に検査できるため、一挙に数万単位の検査が出来るメリットは大きい。市販のイムノクロマト法検査薬は、国が精度が低いと判定しており、一刻も早く精度を高めた製品の感染が待たれる。

・イムノクロマト法
3106倉敷紡績
中国提携先企業から15分で判定できるキットを3月16日から輸入販売

4061デンカ
デンカ生研と国立感染症研究所の協業で2ー3ヶ月以内に試作品を作成

デンカは、国立感染症研究所と新型コロナウイルス感染症の診断法開発に関する共同研究契約を締結し、開発していたイムノクロマト法による簡易検査キットが完成し、7月20日にPMDA(医薬品医療機器総合機構)に承認申請し、8月11日に製造販売承認を取得した。抗原検査で、特別な検査機器を必要とせず、短時間で簡易に陽性・陰性の検出結果を識別出来る。デンカは最大1日10万検査分の量産体制を構築する。

新型コロナウイルス抗原迅速診断キットの「クイックナビ」が、国内製造販売承認を得た。デンカは1日最大10万検査分の量産体制を整えており、8月13日から医療機関に販売を開始、9月1日からは販売提携している大塚製薬も販売する。「クイックナビ」は検査に特別な機器を必要とせず、鼻咽頭ぬぐい液から新型コロナ抗原の有無を15分で判定できるため、一般医療機関でも導入が進みそうだ。


・ELISA法
6869シスメックス
医療機関に設置しやすい小型装置と大量の検体を検査する大型機を開発中。2020年6月12日から研究用抗体受託サービスの提供を開始。2020年7月22日から全自動免疫測定装置で利用可能な研究用抗体検査薬を発売する予定。

鳥取大学発のバイオベンチャー「Trans Chromosomics(TC)」が、完全ヒト抗体産生マウスを用いた新型コロナウイルスに対する治療用完全ヒト型モノクローナル抗体作製でカイオム・バイオサイエンスと共同研究する。TC社は独自で抗体取得を目指す一方、国立感染症研究所・鳥取大学とも共同研究しており、新型コロナの治療用抗体作製を目指している。TC社にはカイオム・バイオサイエンスが出資しており、完全ヒト抗体作成で共同開発研究することを締結した経緯がある。



●抗原検査関連株
抗原検査は、ウイルス特有のタンパク質を検出するもので、遺伝子を増幅する必要があるPCR法より簡便で、抗体を地方衛生研究所などに運ぶ必要がなく、15~30分程度で簡便に判定できる。検査精度はPCRに劣るが、検査費用はPCRの3~4万円程度に対し、抗原検査は2000円程度と安価。検査規模の拡大が期待される。

政府が抗原検査キットの増産を国内外の主要メーカーに要請したと報じられた。オミクロン型の濃厚接触者の待期期間を14日から10日に短縮するが、医療従事者などエッセンシャルワーカーとして自治体が指定する職種は、抗原検査キットの場合、6日目と7日目に陰性を確認した上で解除される。陰性確認のために自宅で利用する人が増えることが想定されることから、十分な供給量を確保する。増産で在庫の余剰が生じた場合は国が買い上げるもよう。


H.U.グループホールディングス(みらかホールディングス)の富士レビオは、2020年4月に新型コロナの抗原検査キットの承認を申請し、2020年5月に取得。2020年6月には全自動検査機器用試薬で製造販売承認を取得。2020年10月には検体種別に鼻腔拭い液を追加することが承認され、医療従事者の管理下において患者自身が採取できるようになったことから、医療従事者の感染リスクの低下や検体採取の業務負荷軽減が期待される。高感度抗原検査の受託や国内外での高感度抗原定量検査試薬「ルミパルスSARS-CoV-2 Ag」の販売、空港検疫所での高感度抗原定量検査試薬の提供などで検査サポートをしている。

日本電波工業は、2020年8月27日、新型コロナウイルス抗原検査用水晶振動子式センサ及び機器の開発で埼玉医科大学と実証実験を行うと発表した。採用するCNM法は検知した分子レベルの物質量を周波数の変化としてリアルタイムで検知するため、5分から10分程度で高感度な分析結果が得られ、簡単な検査法のため小規模クリニックなどでも検査が可能になるとしている。

デンカ生研も新型コロナウィルスの抗原をイムノクロマト法により一般の医療施設でも使用が可能な、簡易検査キットの開発に着手している。

富士フイルムは、新型コロナウイルス抗原検査キットの開発を開始した。写真の現像プロセスで用いる銀塩増幅技術を応用した「銀増幅イムノクロマト法」で、インフルエンザなどの感染症を対象とした検査キットを販売しているが、迅速かつ高感度検出が可能な新型コロナウイルス抗原検査キットの早期実用化を目指す。

ミズホメディーは、2021年8月12日に新型コロナウイルス抗原とインフルエンザウイルス抗原を同時検出する迅速検査キットの製造販売承認申請を行った。

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