株テーマ:量子暗号の関連銘柄
量子暗号関連株。量子暗号は、光子の暗号化や解読用の鍵を乗せて送信するため、光子の状態を観察することで漏洩を防ぐ仕組み。量子コンピューターの登場で現在の暗号が解読される可能性があるため、理論的には解読が不可能な量子暗号が注目されている。量子暗号の世界市場規模は2023年に5億ドル、2027年頃に20億ドルに拡大すると期待されている。関連特許では1位が東芝、2位がNECとなっている。
総務省が2025年にも量子暗号通信の実用化支援を始めると報じられた。通信距離を伸ばしたり、速度を引き上げたりする技術の開発を担う企業を公募し、NICTが構築した量子暗号通信網で検証。2025年度からの5年間で官民合わせて数百億円規模を投じるとしている。
NICTや東大、ソニーCSL、スカパーJSATなどは、2024年4月に低軌道上の国際宇宙ステーションと地上間での秘密鍵共有と高秘匿通信に成功したと発表した。低軌道衛星からの光通信による高速かつ高い安全性を持つ暗号鍵を任意の地上局と共有する技術的な見通しが立ったとしている。この技術の開発をさらに進め、機密情報を扱うユーザー向けの衛星量子暗号システムの社会実装を目指す。
多摩川ホールディングスは、量子暗号通信用デバイスの開発を進める。2024年3月には量子暗号通信向け開発について国際会議「APS March Meeting 2024」で東北大学、北海道大学などと共同発表。開発した成果は、光通信デバイスの新設計手法に関するもので、MEMS(微小電気機械システム)と呼ばれる半導体製造技術を利用した微小デバイスから、人工衛星を用いた光通信用の設計までを可能にするものとしている。
フューチャーは、子会社のディアイティがフィンランドのSSH Communication Securityの量子コンピューターによる暗号解読を防ぐ暗号通信ソリューション「Tectia Quantum」の取扱いを開始。販売開始は2022年9月からを予定する。
NECと東大は、量子暗号通信の検出器を安価な汎用品で代用し、通信装置のコストを10分の1に引き下げる。検出器は1台100万円程度だが、通常の光通信検出器を使うことで数万円にコストダウンできる見込み。2025年の実用化を目指している。
凸版印刷は、NICTと量子セキュアクラウド技術への耐量子-公開鍵暗号の組み込みに関する共同研究契約を締結。量子セキュアクラウド技術への耐量子-公開鍵暗号を実装したICカードを用いたアクセス制御・管理技術を開発し、量子セキュアクラウド技術の利用拡大を狙う。2022年に耐量子-公開鍵暗号のICカードへの適用及び認証システムの技術検証を開始し、2025年に限定的な実用化、2030年にサービス化を目指す。
凸版印刷とNICT(情報通信研究機構)は、米国政府機関選定の耐量子計算機暗号をICカードシステムに実装する技術を確立した。