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    スターゲート計画の舞台裏とインパクト
    マイクロソフトは2019年に10億ドルの出資を行って以来、オープンAIとの関係を強化してきた。2023年1月には、複数年で100億ドル(約1.3兆円)の追加投資を発表した。

    この大型投資により、マイクロソフトはオープンAIの利益の75%を取得する権利を得たとされる。投資回収後は、マイクロソフトが49%、他の投資家が49%、オープンAIの親会社が2%の株式を保有する構造に移行する見込みだ。

    契約条件においても変更が行われた。これまでマイクロソフトは、オープンAIに対して新たなコンピューティングインフラの構築に関する独占権を有していた。しかし、最近の契約更新により、オープンAIは主に研究とモデルのトレーニングのために、マイクロソフト以外の企業のインフラも利用可能となった。これがオラクルがスターゲート計画に参画した理由だ。

    さらに、人間の能力を超える汎用人工知能(AGI)の開発後も、マイクロソフトがオープンAIからの出資を受け入れ、AGI技術へのアクセスを認める方向で協議が進められているという。

    ソフトバンクグループ(SBG)は、オープンAIの資金調達ラウンドにおいて5億ドル(約720億円)を出資した。さらに、SBGはオープンAIの従業員が保有する株式の最大15億ドル相当を追加取得することも検討している。

    アブダビ政府はAI半導体分野に焦点を当てたテクノロジー投資会社「MGX」を設立し、オープンAIが実施した資金調達ラウンドに参加し、出資を行った。オープンAIはこのラウンドで66億ドルを調達し、MGXの出資はその一部を構成している。

    アブダビの政府系ファンドであるムバダラ・インベストメント・カンパニーは、SBGが設立したソフトバンク・ビジョン・ファンドに最大150億ドル(約1兆7000億円)の出資を行ったとされている。さらに、ムバダラはSBGが保有する米投資会社フォートレス・インベストメント・グループの株式901%を取得した。

    このように、アブダビとソフトバンクグループは蜜月関係にあり、スターゲート計画でも両社が初期出資者となるのも自然な流れだった。MGXは、アブダビ政府からの資金を基に、AIインフラ(データセンターや接続性)、半導体(ロジックおよびメモリチップの設計と製造)、AIのコア技術とアプリケーション(AIモデル、ソフトウェア、データ、ライフサイエンス、ロボティクス)の3つの主要分野に焦点を当てている。

    ソフトバンクグループの孫正義氏とオープンAIのサム・アルトマン氏は、長年にわたる友人関係を築いている。2023年6月には共同事業の可能性について協議を開始したと報じられていた。

    スターゲート計画は、米国のAI産業と経済に革命的な変化をもたらす可能性がある巨大プロジェクトだ。単なる企業投資を超えた国家戦略としての側面を持ち、米国の技術覇権と経済成長に大きな影響を与える可能性が高い。AI技術の飛躍的進歩により、社会全体が大きく変容する転換点となる可能性がある。

株式情報更新 (3月12日)


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