株テーマ:マグロ養殖の関連銘柄
マグロの完全養殖は近畿大学が世界で初めて成功。クロマグロの輸入禁止は回避される見込みだが、資源保護のため漁獲規制は強まり、食品会社は養殖事業を強化。大量の餌が必要なため人工飼料の開発も活発化している。
マルハニチロは2015年度から完全養殖のクロマグロの出荷を開始。2018年度には輸出を始める計画。欧米で日本食が人気化し、資源保護に取り組む完全養殖への引き合いが増すと判断した。マルハニチロは、欧州とのEPA(経済連携協定)発効で、2019年度の欧州向け完全養殖マグロの輸出を10トンとし、輸出量を30トンに倍増させる。日欧EPAでは22%の関税が即時撤廃されており、欧州の消費者は天然魚の乱獲を嫌い完全養殖の水産物への関心が高い。養殖クロマグロの出荷も2割増の4600トンとする計画。マルハニチロは国内に10カ所の養殖場をもつ最大手で、養殖クロマグロの増産効果が収益を押し上げそうだ。
また、極洋や日本水産もクロマグロの完全養殖の事業化を目指している。極洋とフィードワンは2017年から完全養殖のクロマグロの出荷を年200トン規模で始める。近畿大学が先行するクロマグロの完全養殖を国内最大規模で事業化する。成長したクロマグロは極洋の加工施設でさばき、大手回転すしなど飲食店や小売店に販売する。
フィードワンは1986年からクロマグロの種苗生産技術の研究に着手。クロマグロ養殖事業のビジネスモデル構築に向けた人工親魚から完全養殖魚の生産、飼料体制の確立を目指す。フィード・ワンは極洋と共同で、四国の宿毛湾でクロマグロの完全養殖に取り組んでおり完全養殖クロマグロ用の飼料「アンブロシア」を販売する。
日本水産は完全養殖のクロマグロを2017年冬にも出荷する計画。日本水産は2007年にクロマグロの人工ふ化の研究を開始。2014年に完全養殖に成功した。人工ふ化させる稚魚の数を増やし、段階的にクロマグロの出荷数を引き上げていく計画。
伊藤ハムは高品質のマグロを安定的に供給するため、2008年から愛媛県宇和島でクロマグロの養殖業に取り組んでいる。林兼産業はマグロ用配合飼料の開発に成功し「ツナ・フード」の商品名で販売している。
豊田通商は、近大マグロの近畿大学と提携するなどマグロ養殖に力を入れる。