市場関係者からは、トランプ次期大統領が財務長官に指名したスコット・ベッセント氏の起用を好意的に受け止める声が多い。伝統的なウォール街の出身者で、市場との対話に長けており、トランプ氏が掲げる関税政策について、交渉の道具として柔軟に活用する姿勢を示している。ルービン氏やポールソン氏など歴代の財務長官と同様の豊富な市場経験を持つ点も評価されている。ベッセント氏は、安倍元首相のアベノミクス「3本の矢」を評価しており、規制緩和、財政出動、金融緩和を組み合わせた政策アプローチを重視する姿勢だ。

サウスカロライナ州出身のベッセント氏は、1984年にイェール大学を卒業後、投資管理業務に35年以上携わってきた実力者だ。1991年から2000年までソロス・ファンド・マネジメントのパートナーを務め、欧州部門トップまで上り詰めた。2011年に再びソロスのファンドに戻り、2015年まで最高投資責任者として活躍した。その後、ソロスから約30億円の出資を受け、キー・スクエアを創業している。