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    アームの台頭とクアルコムの参入
    アームアーキテクチャがスマートフォン市場で圧倒的なシェアを獲得している中、クアルコムはこの波を最大限に活かそうとしていた。

    同社の「Snapdragon」シリーズは、すでにモバイルデバイスの分野で広く採用されており、その性能と省電力性が高く評価されていた。だが、クアルコムはこれに満足せず、さらなる市場拡大を目指していた。それは、従来インテルが支配していたPC市場への本格参入だった。

    クアルコムは、アームベースのシステム・オン・チップ(SoC)を搭載したPC向けプロセッサの開発を進め、2020年代前半にこれを発表した。これにより、軽量でバッテリー寿命の長いノートPCの需要に応えることができ、特にビジネスユーザーや学生を中心に高い関心を集めた。

    第3章:PCメーカーの動き
    クアルコムのアームベースSoCの発表を受けて、主要なPCメーカーたちは対応に迫られた。これまでのWintelアーキテクチャに依存していた彼らも、新しい可能性に賭けることを検討し始めた。

    HP、Dell、Lenovoなどの大手PCメーカーは、クアルコムのSoCを搭載した新しいノートPCを市場に投入する計画を立てた。これらの製品は、薄型軽量でありながらも、高いパフォーマンスと長いバッテリー寿命を実現しており、特にモバイルワーカーや学生にとって魅力的な選択肢となった。

    また、これに伴い、Microsoftも自社製デバイス「Surface」にクアルコムのチップを採用することを決定。Surfaceシリーズは、これまでのインテルベースのモデルに加え、アームベースのモデルをラインナップに加えることで、ユーザーの多様なニーズに応えることができた。

    しかし、こうした移行には課題も伴った。特に、Windowsのソフトウェア互換性やパフォーマンス面での最適化が求められた。これに対し、マイクロソフトはソフトウェア開発者と協力し、アームアーキテクチャに最適化されたアプリケーションの開発を促進した。Microsoft Storeには、アーム向けのアプリが増加し、エコシステムの充実が図られた。

    第4章:市場の反応と新たな競争
    市場は、この新しい動きを歓迎した。特に、バッテリーの持ち時間が重要視されるビジネスや教育現場では、アームベースのPCは理想的な選択肢として受け入れられた。クアルコムのSoCを搭載したPCは、モバイル通信機能が標準で組み込まれており、5G対応も進んだ。これにより、ユーザーは場所を問わずに高速インターネット接続を利用できるようになり、リモートワークの時代に合致したデバイスとなった。

    一方、インテルも黙ってはいなかった。インテルは自社のx86アーキテクチャをよりモバイルフレンドリーに進化させるため、研究開発に大規模な投資を行った。新しいプロセッサシリーズ「Alder Lake」は、ハイブリッドアーキテクチャを採用し、パフォーマンスと省電力性の両立を図った。

    終章:未来への航路
    2025年に入る頃には、PC市場は再び活気づいていた。クアルコムをはじめとするアームベースのプロセッサが市場の一角を占め、インテルとの競争が激化していた。マイクロソフトは、この競争の中心にあり、アームとインテルの両方に対応したWindowsデバイスを提供することで、ユーザーに選択肢を提供し続けた。

    この変化は、IT業界全体に波及し、従来の勢力図が再び描き直されることとなった。そして、この動きは、クアルコム、インテル、マイクロソフトの3社がそれぞれの強みを活かしながら、新たな市場を切り拓いていく物語へと続いていく。

株式情報更新 (10月25日)


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