2024年12月25日、日本銀行の植田和男総裁は、日本経済団体連合会での講演で「2％物価安定目標」の持続的・安定的な実現に向けた進捗状況と今後の展望について語った。

植田総裁は、2024年の日本経済について、賃金と物価の好循環が進展し、物価目標実現に向けた着実な進歩が見られたと総括。春季労使交渉での大幅な賃上げや、それに伴う個人消費の改善が、経済全体の成長を後押ししたと評価した。

また、総裁は1990年代以降の低インフレの原因として、需要不足、新興国からの安値輸入品の増加、社会全体での賃金・物価抑制の慣行を挙げた。一方で、現在は人手不足感の強まりや賃金上昇を背景に、これまでの低成長の構造的問題を克服する兆しが見られるとした。

今後については、2％目標の実現が金融政策の柔軟性を高め、企業の投資活動やイノベーションの促進につながると期待。特に、賃金と物価が緩やかに上昇する環境が整えば、企業の成長戦略が一段と前向きになるとの見解を示した。

最後に、経済・物価情勢に応じた金融政策の柔軟な運営を継続し、物価安定目標の達成を通じて、持続的な経済成長を支える決意を改めて表明した。