住友ゴム工業は東北大学と共同で、世界初の高精度計測技術による電池用硫黄の可視化に成功した。大型放射光施設SPring-8を活用して、物質の構造と化学結合状態をナノレベルで計測可能な技術（テンダーX線ナノスコープ）を世界で初めて確立し、リチウム硫黄電池材料に用いる硫黄化合物の可視化に成功した。この技術を応用することで、現在開発を進めているリチウム硫黄電池での反応・劣化メカニズム解明による性能向上が期待でき、高性能タイヤの開発にもつなげる。

住友ゴム工業は、産業技術総合研究所と共同で、リチウム硫黄電池に関する開発を進めてきた。リチウム硫黄電池は、リチウムイオン電池の6～7倍の理論容量が期待でき、軽量かつ安全性に優れているが、充放電のサイクル寿命が課題になっていた。硫黄化合物を高精度で計測することで、サイクル寿命を向上させる。2024年から運用開始予定である次世代放射光施設「NanoTerasu(ナノテラス)」でも活用し、リチウム硫黄電池の動作環境下での計測および材料開発の早期実用化に取り組む。