株テーマ:MRAM(磁気メモリー)の関連銘柄
近年、半導体業界ではMRAM技術の開発が急速に進展しており、主要企業が相次いでその量産化に向けた取り組みを加速させている。MRAMは、高速で省電力な特性を持つ次世代不揮発メモリとして注目されており、従来のフラッシュメモリに代わる新たな標準となる可能性がある。MRAMは理論的には消費電力を既存のメモリーの100分の1に抑えられる。高速で読み書きでき、電源を切ってもデータが消えない
DRAMは電源を落とすとデータが消えてしまうが、MRAMは電力を使わずにデータを保て、消費電力も低い。NANDフラッシュメモリーも電源を切っても記憶した情報が消えない性質を持つが、データの転送速度が遅い欠点がある。
東京エレクトロンは、半導体プロセス1.5nmノード以降の不揮発性MRAMの微細加工基盤技術の研究開発が、ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業として、採択されている。、東京エレクトロンが1.5nmノード以降に向けたMTJピッチでのRIEエッチング基盤技術の開発を担当、東北大学国際集積エレクトロニクス研究開発センター(CIES)は共同研究としてその微細加工基盤技術検証につなげる集積プロセス開発・試作・評価を担当し、2社が一体となって半導体プロセス1.5nmノード以降に向けた不揮発性MRAMの微細加工基盤技術を構築する。
アームのIoT端末向けテストチップ「Musca-S1」は、東北大学のスピントロニクス半導体技術やMRAM(磁気抵抗メモリ)が使用されている。スピントロニクス半導体は、ロジックLSIの消費電力を100分の1以下に低減できるため、MRAMで実用化できれば、半導体のゲームチェンジャーとされている。関連銘柄は(6723)ルネサスエレクトロニクス
東芝と韓国の半導体メーカー、SKハイニックスがMRAM技術の共同開発に合意した。両社は技術開発を加速し、MRAMの早期市場投入を目指している。
台湾の半導体受託生産大手PSMCは、東北大学発のベンチャー企業パワースピンと提携し、MRAMの量産化を目指している。PSMCは2029年から宮城県に新工場を建設し、MRAMの量産を開始する予定だ。
ルネサスエレクトロニクスは、マイコンに搭載するMRAM向けの高性能技術を開発した。同社は、MRAMの高性能と省電力を活かし、フラッシュメモリを代替するマイコン製品の製品化も視野に入れている。これにより、ルネサスは次世代のマイコン市場において競争力を高めることが期待される。
MRAMの量産化を支える製造技術の進展も重要である。アルバック、東京エレクトロン、キヤノンアネルバなどのスパッタリング製造装置メーカーがMRAM向けの製造装置を開発・販売している。これにより、MRAMの生産効率が向上し、市場における競争力が一層強化されることが期待される。
MRAMはその特性から、スマートフォン、車載機器、データセンターなど、幅広い分野での利用が期待されている。特に、データセンターでは省電力化が重要課題となっており、MRAMの導入が大きな効果をもたらすと見込まれている。