東洋紡は、敦賀バイオ工場に過去最大規模の約65億円を投資し、遺伝子検査に用いられるＰＣＲ検査試薬および酵素や抗体などの遺伝子診断薬原料を製造する設備を新設する。高濃度ＤＮＡの取り扱いに適したクリーンルームや、研究試薬を効率的に分析・製造できる環境などを備えた施設を新設するとともに、一部老朽化した設備を刷新。これにより、世界的に需要が高まるＰＣＲ検査試薬および遺伝子診断薬用原料の生産能力を現在の約3倍に増強する。

東洋紡は、1972年に酵素法による尿酸測定用検査薬を開発し、バイオ事業に本格的に参入した。主力製品の一つとなるＰＣＲ酵素「KOD DNAポリメラーゼ」を上市し、これまで、ノロウイルスやインフルエンザウイルス、新型コロナウイルスなど、さまざまな感染症のＰＣＲ検査用試薬や酵素を開発している。2023年3月に着工し、2024年11月の稼働開始を目指す。東洋紡は、ライフサイエンス事業の売上高を現在の350億円程度から800億円まで引き上げる目標を掲げている。