トランプ次期大統領が中国、メキシコ、カナダに対して関税を引き上げる方針を表明したことは、日本企業にとって重大な打撃となる可能性が高い。特に、メキシコやカナダに製造拠点を持つ日本企業は、これまで関税がかからないことを前提に事業を展開してきたため、25%の関税が課されると、コストが大幅に増加することになる。

特にアメリカ市場への輸出に依存している企業にとっては深刻な問題だ。関税の引き上げは、対抗措置を引き起こす可能性もあり、国際貿易全体に波及効果をもたらすことが懸念されている。

トランプ氏は関税を交渉カードとして利用する意図があると考えられている。彼は「タリフマン」と自称し、関税を用いて他国との取引条件を有利に進める戦略を取ることが予想される。具体的には、メキシコやカナダとの貿易協定（USMCA）の再交渉を早急に進める狙いがあるようだ。

また、トランプ氏は不法移民や違法薬物の流入対策として関税引き上げを正当化しており、この理由付けは彼の交渉戦略の一環と見られる。実際には、これらの措置がどの程度実行されるかは不透明であり、市場はその動向を注視している。

日本企業が取り得る対抗策は限定的だが、いくつかの選択肢が考えられる。サプライチェーンの見直しでは、米国内調達へのシフトや原産国計画の再検討など、バリューチェーンへの影響を分析し、戦術的な対応を検討する可能性がある。

最も大きな影響を受ける可能性が高いのは日本の自動車産業だ。多くの日本の自動車メーカーがメキシコに生産拠点を持ち、米国市場向けに輸出している。