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    ソフトバンクのAI戦略(グラフコア)
    グラフコアは、AIアプリケーションの処理を支援するためのインテリジェンス・プロセッシング・ユニット(IPU)を開発する企業。同社は、AIチップ市場でNvidiaと競争することを目指して設立された。 この買収により、ソフトバンクはAIチップ技術を活用し、データセンター向けのAIチップ市場に参入する狙いがある。グラフコアのIPUは数千個の独立した並列処理コアを持ち、それぞれが専用の高速メモリを持つ。IPUは、同価格帯のGPUと比較して2~4倍の高速性を持ち、省エネルギー性能も優れることから、データセンタークラウド環境での運用コストを削減することが出来るという。

    グラフコア買収金額は約6億ドル(約950億円)と報じられている。グラフコアは、セコイア・キャピタル、BMW、マイクロソフト、サムスンなどから総額7億1000万ドルの投資をうけ、2020年には評価額が28億ドルとされていた。 直近は売上が270万ドル、損失は2億ドル以上とされ、評価額が5億2800万ドルと、試算されていた。従業員数は382人から434人のようだ。半導体設計会社としては、格安のお買い物と見る。

    ソフトバンクグループは、グラフコアとの買収の詳細を公表しないことで、合意しているようだ。5億ドルという数字は不正確として否定したが、、買収額が調達金額の7億1000万ドルを下回ったことは確かなようだ。発表が遅れたのは、すべての規制当局の承認を受けるためで、英国の国家安全保障投資法や、独占禁止法とセキュリティに関する承認を得るためだったと説明した。 従業員は500人だが、レイオフはせず、むしろ英国での従業員数を大幅に増やす可能性が高いとしている。

    2年以上にわたる緊密な協力関係を経て、2019年11月、マイクロソフトはグラフコアのIPU(Intelligence Processing Unit)をAzureクラウドに導入することで提携した。8枚のグラフコアC2 IPU PCIeカードを搭載したサーバーを使用し、BERTという自然言語処理モデルの学習を56時間で完了させ、BERTの推論処理速度が3倍向上した。 マイクロソフトのAzureの顧客向けに非常に重要とされていたが、グラフコアのソフトウェアに問題があり、2021年春頃にこの提携は終了した。グラフコアに大きな打撃となり、その後の財務状況の悪化に繋がった。

    財務的な課題を抱えていたグラフコアにとって、ソフトバンクグループの傘下に入ることで事業の安定性が向上することに加え、アームとの協力が可能になる。2022年3月に、グラフコアは、次世代IPU技術として、人間の脳の能力をしのぐ「超高知能AIコンピュータ」を開発していることを明らかにした。つまり、ソフトバンクグループが目指すASI(超人工知能)に繋がるものがある。元々2024年には市場投入を目指していたという。

株式情報更新 (9月6日)


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