デンカは、石灰石の自社採掘及びセメント製造事業から完全撤退する。デンカのセメント事業とは意外だが、1954年より新潟県糸魚川市の青海工場で、隣接する黒姫山の豊富な石灰石資源でセメント事業に参入していた。カーバイド生産での余剰石灰石の有効活用のため有効活用していた。国内セメント需要が低調に推移しており、事業再構築が必要なコモディティー事業と位置付けていた。

太平洋セメントとの間で株式譲渡契約書を締結し、同じく糸魚川市にセメント工場をもつ太平洋セメントの100％子会社である明星セメントに事業譲渡する。両社は黒姫山の石灰石鉱山の共同開発計画に取り組んでいた。デンカのセメント事業の22年3月期の売上高は113億円で、事業譲渡により５ＧやＥＶ向け部材など高収益製品に注力する。機能性樹脂、樹脂加工製品、電子・機能材料、特殊混和材など、独自の優位性を誇る製品群を重点事業と位置付けている。