株テーマ:総合スーパー(GMS)の関連銘柄
総合スーパー業界の動向と主要企業の展望
業界概況
総合スーパー(GMS)業界は、長年にわたり国内消費の変化や競争環境の激化に直面してきた。近年では、人口減少や消費者の節約志向が進み、既存店舗の収益改善が課題となっている。一方で、EC(電子商取引)との融合やプライベートブランド(PB)商品の強化による差別化が進められており、各社は生き残りをかけた戦略を打ち出している。
主要企業の動向
8267イオン
業界最大手のイオンは、食品スーパーやディスカウントストアを傘下に持ち、多角化経営を推進している。2023年度の決算では、PB商品「トップバリュ」の販売強化が奏功し、営業利益が増加した。今後はDX(デジタルトランスフォーメーション)を活用した購買データ分析によるマーケティング強化や、物流効率化によるコスト削減を進める方針だ。
3382セブン&アイ・ホールディングス
セブン&アイは、主力のコンビニ事業を中心に、総合スーパー「イトーヨーカ堂」の再編を進めている。収益性の低い店舗の閉鎖とともに、食品売上を軸にした構造改革を進めており、今後はECとの連携を強化する見込みだ。また、セブンプレミアムなどのPB商品の開発も引き続き拡充される。
8270ユニー・ファミリーマートホールディングス
ユニーは、ドン・キホーテを展開するパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(7532PPIH)傘下に入り、業態転換を進めている。GMSの強みである食品売場の拡充と、ドン・キホーテの低価格戦略を融合させることで、消費者の支持を得ている。今後は国内市場の成熟を見据え、海外展開にも力を入れる構えだ。
8278フジ
四国を中心に展開するフジは、持ち株会社「フジ・リテイリング」としてイオンの連結子会社化を経て、経営基盤を強化している。2023年度は食品売上の増加が業績を下支えした。イオングループとのシナジーを活かし、物流・調達の効率化を進めるとともに、電子マネー「WAON」の普及を促進し、キャッシュレス化にも力を入れている。
8185チヨダ
関東を中心に店舗展開するチヨダは、食品スーパー「ライフガーデン」などを展開。競争激化の中で、業態転換や不採算店舗の整理を進めており、都市部での小型店展開を加速させる方針だ。PB商品の開発や、ECとの連携を強化しながら、収益改善を図る。
関西スーパーマーケット
関西地方を地盤とする関西スーパーは、オーケーとの統合協議の末、H2Oリテイリング(8242阪急阪神百貨店)傘下となり、経営基盤を強化した。価格競争力の強化に加え、高品質な生鮮食品の取り扱いを強みにしている。今後は、都市型店舗の拡充とともに、スマートストアの導入を進め、省人化・効率化を図る方針だ。
7512イオン北海道
北海道に展開するイオン北海道は、イオングループの支援を受けながら、地域密着型の店舗運営を強化。生鮮食品の品質向上に加え、観光客向けの需要を取り込む施策も進めている。特に、インバウンド需要の回復を見据えた販促策を強化する方針で、店舗のリニューアルや商品開発に注力している。
今後の展望
総合スーパー業界は、引き続き厳しい環境が続くが、デジタル技術の活用や物流の効率化、PB商品の強化が成長の鍵となる。消費者のニーズを的確に捉え、ECと実店舗を融合させたオムニチャネル戦略を強化できる企業が、今後の競争を勝ち抜くことになるだろう。