マイクロ波化学と量子科学技術研究開発機構は、マイクロ波加熱を用いた省エネ・CO2削減精製技術によりベリリウム鉱石の溶解に成功した。レアメタルの一つであるベリリウムの精製には、2,000°Cもの高温で鉱石を溶融し、その後急冷して、より溶解しやすいガラス構造に変化させるガラス化処理と、そのガラスを 250°C以上の濃硫酸で加熱溶解処理する2段階の加熱処理が必要だったが、マイクロ波化学製のマイクロ波ベンチ装置で、溶解のための加熱処理を１段階のみにできることを実証した。

さらに、複数の鉱石の一括処理もできる可能性が明らかになり、省エネ・CO2排出抑制に向けた新たな精製技術をプラットフォーム技術として標準化を目指す。核融合炉の燃料の三重水素は、リチウムに中性子を当てて生産するが、より多くの三重水素を生産するためには、中性子を増やす中性子増倍材であるベリリウムが大量に必要となる。核融合発電の実現を加速させる技術として注目される。