株テーマ:ペロブスカイト太陽電池の関連銘柄
ペロブスカイト太陽電池は、シリコン系太陽電池に比べて低温プロセスで製造でき、消費電力が小さい。有機材料を使用するため、生産コストの削減が期待されている。また、軽量で柔軟性があり、モバイル機器やIoT機器向けなどへの用途拡大が見込まれている。世界市場規模は、2021年から2035年にかけて約50倍の7200億円に成長するとの予測がある。
現時点でのペロブスカイト太陽電池の世界最高効率は25%台だが、電動航空機やEV、ドローンなどへの応用には、軽量でフレキシブルな太陽電池で30%以上の変換効率が求められている。2023年9月、東京都市大学の石川亮佑教授は、エネルギー変換効率が30%に迫る「ペロブスカイト/シリコンタンデム太陽電池」の作製技術を開発し、セル面積1㎠で26.5%の効率を達成したと発表した。さらに、東京大学大学院の瀬川教授らの研究グループは、ペロブスカイト太陽電池とCIGS太陽電池を組み合わせたメカニカルスタックタンデム太陽電池で26%の変換効率を実現し、30%超の軽量フレキシブル太陽電池の可能性を示している。
国立研究開発法人物質・材料研究機構(NIMS)は、2022年9月に20%以上の光電変換効率を維持しながら、1000時間以上の連続発電に耐えるペロブスカイト太陽電池を開発したと発表した。
京都大学発のスタートアップであるエネコートテクノロジーズは、2023年4月にモジュール変換効率19.4%のフィルム型ペロブスカイト太陽電池の開発に成功している。
経済産業省は、2024年11月にペロブスカイト太陽電池を2040年度に20ギガワット導入する政府目標を発表した。政府は2030年までにペロブスカイト太陽電池の普及を目指し、2025年度にも固定価格買い取り制度(FIT)で優遇措置を検討している。具体的には、ペロブスカイト型の買い取り額を現行の太陽光向けの水準を上回る1キロワット時あたり10円以上とする方向で調整中。
環境フレンドリーホールディングスは、2025年1月に新事業としてペロブスカイト太陽電池事業を開始すると発表した。中国のペロブスカイト太陽電池メーカーである杭州衆能光電科技有限公司の技術・競争力を評価し、その生産を日本で行う。環境フレンドリーには製造等に係るノウハウがないことから、杭州衆能光電科技有限公司から技術支援を受ける予定で、2025年2月中の技術提供を視野に交渉を進めているとしている。
積水化学工業は、2024年12月にペロブスカイト太陽電池の量産化開始を決議。2027年に100MV製造ライン、2030年にGW級の製造ライン構築を目指す。総投資額は3145億円。政府の補助金は1572億円。
マクニカは、2026年度以降の実用化を目指し、2023年度には発電効率10%以上を実現した。
パナソニックホールディングスは、2026年の参入を検討しており、804㎠のペロブスカイトモジュールで変換効率18.1%を達成している。
ウエストHDは、エネコートテクノロジーズと協力し、建物の壁面などへの効率的な設置手法を開発する計画。
日揮HDとエネコートテクノロジーズ、苫小牧埠頭は、2024年から北海道苫小牧市の物流施設で共同実証実験を開始する予定で、2026年をめどに大規模発電事業への参入を目指している。
エネコートテクノロジーズは、2023年6月にトヨタ自動車と車載用ペロブスカイト太陽電池の共同開発を開始し、2030年の実用化を目指している。ホシデンは、IoT機器や携帯機器向けの電源用途を検討し、2024年度後半の量産を目指している。
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、次世代太陽電池開発プロジェクトに着手し、ペロブスカイト太陽電池の実用化に向けて154億円の支援を行っている。採択事業には、積水化学工業、東芝、カネカが含まれており、それぞれ技術開発を進めている。
日本精化は、産業技術総合研究所と共同で、新たな有機ホール輸送材料を開発し、高効率ペロブスカイト太陽電池の寿命延長に取り組んでいる。豊田合成は、エネコートテクノロジーズに出資し、ペロブスカイト太陽電池の開発を支援している。
ペロブスカイト太陽電池の主原料であるヨウ素に関しては、伊勢化学工業が世界の約15%を生産し、K&Oエナジーグループも製造を行っている。三菱ガス化学の子会社である東邦アーステックは、2026年4月にヨウ素の増産を計画している。ENEOSホールディングスも生産能力の倍増を目指している。
名古屋大学がペロブスカイト太陽電池の寿命を2~4倍に延ばす技術を開発したと2024年2月に報じられた。レゾナックと協力し、約20年と主流のシリコン型並みにできるという。2020年代後半の実用化を目指す。
倉元製作所は、ペロブスカイト太陽電池の設計を定款に追加した。